2018年3月17日 (土)

卵と鶏1

いつもあまり深く考えずにツラツラ好き勝手にブログを書いてるのだけれど、このテーマで書こうとしたらいつも以上に長くなりそうなので分割することにした。タマゴが先かニワトリが先かという話。たとえばインプット優先かアウトプット優先か。予習重視か復習重視か。準備と実践のどちらが大事か。結局はどちらも車の両輪で片方にだけ偏ることはないし、正解はないのだけれど。今回は予習と復習について。

エコノミスト勉強会に復帰して4ヵ月になる。復帰してからずっと、どうにも気になっている。予習と復習とではどちらが大事なのか。勉強方法は人それぞれだし、好みもあるし、他人がとやかく言うことではないので黙ってはいるのだけれど、それでも毎回やはり気になって気になって、床に穴を掘って叫びたーーーい…と思うくらいならここに書いておこう、ついでに自分の頭の中でもう少し整理して、今度の授業で生徒さんに話してみよう、と感じている。

正解がないから、とやかく言えないのは判っている。判っているけれど、個々の状況に照らし合わせれば、この実力であれば短期的にはどちらを優先すべきか、今この段階という場合はどちらを重視すべきかということは、おそらくほぼ誰でも答えは同じになる。目標、実力、環境、教材、性格などなど、いろいろな変動因子はあるのだけれど、コレが弱点でココを伸ばしたい場合はコレをやるとよい、とか、アレが目標でソレを克服したいなら今すべきことはコレ、という具体的な状況が判るのであれば、ほとんどピンポイントでやるべきことは見えてくる。

エコノミスト勉強会に参加しているメンバーは私も含めてみんな読解力の向上が目標で、あのレベルの英文をサラっと読んで理解できるようになりたいというのが究極の理想だ。きっとそんな日は来ないだろうなぁと思いつつ…^^;; ←これは別に自分を卑下しているわけではなく、外国人として英語を学んでいる自分にとって、呼吸するように自然にスっと英語を理解することは一生かけても難しい。スーパーマーケットのオンス表示(イギリスならポンド表示?)、日常会話にサラっと織り込まれるマザーグースや聖書のワンフレーズ、誰でも知っていて当然(と思われている)の超有名なスポーツ選手の噂話とか、そんなのが出てきたらそこで私の脳は全面思考停止に陥る。だからあくまでも「外国人学習者」の域は出ないけれど、でも眉間にシワを寄せたりせずにタイムやエコノミストを読めるくらいにはなりたい。

そのために必要なのは予習なのか復習なのか。そもそもこのレベルの英字誌を読もうというスタート時点で、すでにもう手取り足取り誰かに教えてもらわなければならない場所には居ない。初めてABCを見たり、be動詞とは何かというところからスタートするわけではないので、まずやってみて(=まず読んでみて)、判らないところを必要に応じて調べたり、あるいは必要な部分を類推するスキルを身に着けて調べる回数は最小限にする読み方のほうがいいというのが私の読解アプローチ。軽くサっと読んで判らない単語を予習しておくくらいで十分で、あとは勉強会のあとにじっくり読み返して復習という、復習重視の姿勢だ。予習に何時間もかけて、不安な単語や熟語を一言一句ていねいに調べて勉強会に臨み、終わった後は電池切れで復習しない、というのはちょっと順番が逆の気がする。そういうメンバーさんがいるので、うううう~ん、それじゃ読解力は身に着かないのでは…と思ってしまうのだ。そういう読み方をしていると、いつまで経っても辞書が離せなくなる。辞書ナシでも読み進めて、判らない部分は推定して補うという読み方ができないと、たとえばちょっと難しい内容のリスニングなどもできないということになる。相手が会話の中でこっちの知らない単語を使うたびに、「ちょっと待って!今、辞書引きますから」と言って止めるわけにもいかない(苦笑)。もちろん仕事の場合は別ですが。

翻訳勉強会でも、明らかに予習重視と思われるメンバーがいる。時間をかけて調べ物をしている様子がみてとれるので、スゴイなぁ~、ここまで丁寧に調べてるのか~と感心する。でも勉強会の場でディスカッションしたり、難しい部分をみんなでアレコレ悩んで話し合ったことを応用できないようなのだ。予習の段階で調べてもみんな判らなかった部分を、「きっとここはこういうことだろう、こういう意味であれば前後のつじつまも合うから訳語はコレで良さそうだね」などと一応の結論を得ることが多々あるのだけれど、しばらく経ってからの勉強会で同じ表現が出てきたときに対応できないようなのだ。あ~、きっと復習してないんだろうな、と判ってしまう。予習はもちろん大事だけれど、せっかく勉強会で話し合ったことをその後に活かせないのであれば、なんのための勉強会なの?ということになる。

個人的には復習のほうこそ大切だと考えているので、私自身は復習重視派だ。以前、異業種翻訳勉強会に参加していたことがある。異業種なので医学系だけではなく、金融、特許、IT、法律、文芸など、いろいろな分野の翻訳者が集まる勉強会だったので、課題となる翻訳文も、特定の業種に偏ったものではない文章だった。非常にレベルの高い勉強会で結果的に私はついていけず、1期終了後に脱会したのだけれど、その勉強会は予習重視だった。レベルが高いからこそできることで、初回に「自分の訳文の一言一句がこれでベストだという自信があり、これ以上直すところはないので課題を提出する、というくらいの気持ちで課題を仕上げるように。表現に迷う部分があるのは、課題に取り組む時間が足りていないということ」、と主催者に言われて相当にビビってしまった。仕事に対してはそういう姿勢でやるけれど、私は勉強って試行錯誤が許される場所だと考えている。試行錯誤なので、「コレでいいかなぁ、それともコッチがいいかなぁ、えーい試してみちゃえ」という実験が許される場所。だって勉強なんだから。ここまで思い切った訳語だと意訳すぎるかなぁ?とか、こんなにザックリまとめて訳すと判りづらくなるかなぁ?とか、迷いながら課題を出して、他のメンバーからの様々な指摘を受けて妥当なラインを掴んでいくのが私の勉強会の位置づけ。決して「やっつけ翻訳」ということではなく、考えて迷って迷って、迷ったままでもいいんじゃないか、と思っている。

その迷いを晴らすのが勉強会であり翻訳学校の授業であるというのが私の考え方。仕事でこんな冒険や実験は決して許されないけれど、勉強会や翻訳学校の授業なら許される。そもそも迷わない人は勉強会にも翻訳学校にも来る必要はない気がする。そして(勉強会や授業で)めでたく迷いや疑問が晴れた部分は、次にそれに遭遇した時には自信を持って使いこなせなければ無意味だし、そのためにはやはり復習重視。いちいち全部覚えていられないので用語集を作ったり、人によっては虎の巻的な手書きノートに要点をまとめたり(←翻訳が上手な先輩方をみていると手書きノート派が多いのでちょっとビックリする。私は手書きノートはできないタイプなのでせっせとパソコンを活用しているけれど)。勉強会(や翻訳学校の授業)で毎回90点以上を取りたいなどと私は思わない。ふざけてるわけではなくて、毎回50点でもいいと思う。その代わり、勉強会(や授業)で残りの50点分をしっかり習得して、次に同じ表現に出会ったときには絶対の自信を持って訳せればそれでいい。だから生徒さんには、訳文を真っ赤に直されてもほんっとうに全然なにも気にしなくていい、ここで覚えて次に使えればいいんだから、と言いたい(いや言ってる。次の授業でも言おう。むしろ毎回言おう、うん)。最初から赤が入らない訳文を書けるなら授業を取る必要なんてないんだから。まぁ結局、私は凡人ってことなのだけれど。自分で間違えないと学ばないタイプなんだから仕方ない(^^; 間違えて、学んで、それを次に生かして、でも毎回またどこか別のところを間違えて。私はそういう復習重視の姿勢で勉強しています<(_ _)>

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2018年3月13日 (火)

次の企画

今期の授業状況のキャッチアップや来期の企画などに関して、翻訳学校の上司とミーティングすることになった。ちょっと気が重い…。できる範囲で可能な限り質の高い授業をしているつもりではあるけれど、現状をみているわけでもないのに上のほうからはアレコレ好き勝手言われるわけで…。生徒さんからの希望がでるならまだしも、上からは要望やら要求事項だけが出てきて、クチを出すだけで手は出さないし…。学校側としてコレはやっちゃダメ、アレもダメ、こういう話はしないように、こういうことは教えないように、と釘を刺される事項もいろいろ多い。講座は初心者向けを謳っているんだから辞書を買えとは言わないように、とかね。辞書ナシでどうやって翻訳しろっての?と言いたくなるんだけど…。辞書はともかくとして、参考書籍類に関しては私も基本的に買えとは言わない。医学書は高いのでいちいち買ってたらキリがない。それでもやはり最低限これくらいは揃えておいたほうがいい、というものはいろいろあるし、そういうものをできるだけ厳選してオススメしているつもりではある。そのあたりも含めて、結果的にはこちらに丸投げされているので、これでも私も葛藤しているというわけだ。

来期の企画についても、日頃の生徒さんたちへのリサーチとか、どういった授業を受けたいか、受講したいと思うのは具体的にどのような講座か、などなど、セミナー主催時や講座終了時のアンケート結果などを元にアイディアを練ったりもするのだけれど、やっぱり上から、アレもだめ、コレはムリ、ソレはできない、などと言われてしまう。ほかの翻訳学校との差別化として一番いいのは医学監修の先生方に実際に医学講義をしていただき、それと連動させた分野の論文などを翻訳するワークショップなども良いだろうし、リクエストが多いテーマ別に単発の翻訳講座をやるのもいい(特に統計関連や英訳講座はいつも関心が高くリクエストも多い)。でも企画突破までの壁が厚いうえに、実際にやるとなった時にこちらに丸投げされるのが目に見えているので、その作業量を考えるとちょっとクラクラする…orz 去年担当した単発の統計セミナーも準備がものすごおぉぉぉぉぉーく大変だったのだ…。

ああ~、気が重いなぁ。ミーティングしてもあまり実のある内容になりそうにないので億劫に感じてしまう。せいぜい、今期の生徒さんはみなさん優秀です~、くらいしか言うことないし。私自身も勉強したいテーマはたくさんあるので、学習者のひとりとして、具体的にこういうテーマを学べる機会が欲しい、とか、こういったセミナーや講座があれば参加したい、とか、いくらでもストックはあるのだけれど、制限やらダメだしやらが多くて、プシュ~っと萎んでしまうような気になる。ウチの学校側が思い描いている講座内容がおそらくかなりピンポイントの狭い範囲だからかもしれないけれど、学ぶ側は広範囲に勉強したいと思うわけで、差が生じるのは仕方ない。その差を埋める作業を丸投げされるのはタイヘンなんですよっ!!!…と訴えても通じ無さそうなので気が重いのである。

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2018年3月12日 (月)

医療モノ

先日のブログ記事で、同業の友人がみたという医療ドラマ(Chicago Med)の話をチラっと書いたけれど、私はこのドラマを観たことがない。「そのうち観たいドラマ」リストに脳内メモしたところなのだ。内容がフィクションだと判ってはいても、やはり素人にとっては医療モノのドラマやマンガは面白いし、ついつい心惹かれてしまう。心理描写モノであれば文字で追っかける(=書籍を読む)のもよいけれど、医学的な専門手技をイメージしづらい部分に関しては、映像があるほうが当然ながら判りやすいので、文字で読むよりドラマやマンガにハマってしまうのだ。

それにしてもまぁ世の中にはよくもこんなにたくさん、と思うくらい医療系のマンガやドラマがあって選り取り見取り。私の世代では医療ドラマの代表格と言ったら真っ先に「ER-緊急救命室」イチオシ!…と思っていたのだけれど、今の20~30代だとERを知らなかったりするのがちょっとカルチャーショック…あんなに面白いドラマはないのに…。私がまだこの業界に足を踏み入れたばかりの頃にリアルタイムで観ていたのだけれど、出てくる専門用語もチンプンカンプンだったし、二か国語放送の英語版のほうにするとナニをいってるのやら英語もまったく聞き取れなかったけれど、スピーディで緊迫感があって、登場人物もみんな魅力的で、深夜帯の放送だったけれど夢中になって観ていた。今なら、英語でもなんとなぁぁぁぁく聞き取れる…部分もある…ような気がする(^^;; 解剖生理や疾患のこともちょっとずつ判ってきたからというのも大きいかな。大枚はたいて(?)DVDを大人買いしたのも懐かしい。登場人物たちも大好きで、何度でも繰り返し観たくなるドラマです。

次にお気に入りなのが「House, M.D.(ドクター・ハウス)」。実は私がこの作品を知ったのはつい1年ほど前で、本国ではシリーズも完結してからだった。たまたまア○ゾンのプライムビデオで無料視聴の対象になっていたため、見始めてしまったらさぁ大変(笑)。面白くて1ヵ月で全話一気に観てしまった(1シリーズ約20話×8年分=合計170話以上…)。観終わったときにはヘロヘロでしたが。でもこれはERのときと違って、多少なりとも臨床や診断に関する表現なども判る部分が増えてきて、ドラマ自体が面白いのとは別に、医学知識の小ワザが効いている部分も楽しめるのが嬉しかった。いいタイミングでプライムビデオを観ることができたけれど、もう一度観たいエピソードも多く、無料視聴期間が終わってしまったのでDVDを大人買いしようかどうか迷っている…(でも多分そのうち買っちゃう気がする)。

翻訳勉強会で心電図をやったとき、「心電図を発明したアイントーベンの初期の心電図」という大がかりな機械(というか装置)を書籍で見たときに、「うわぉー、ドクターハウスに出てきた心電図と同じだぁ!(≧▽≦)」とオオウケしてしまった。心電図は皮膚に電極を貼って電位差を測るわけだが、上半身に大火傷をして皮膚に電極を貼れない少年が病院に運び込まれた時、Dr.ハウスが、「それじゃアイントーベンの助けを借りよう」と部下に言う。部下は「…故人です(=100年くらい前の時代の人なので)」と答えると、「100年前から営業している電気屋の地下にでも置いてあるだろうから、当時の心電図計を探してこい」と答える。要するに、アイントーベンが発明した当時の心電図装置の仕組みを再現して測定しろ、ということ。このシーンを見たとき、うわぁ~このセリフの意味や背景が判るるるる~(≧▽≦)と嬉しくて小躍りしてしまった。こんなことが判ったからと言って、これまた翻訳がうまくなるわけでもないのだけれど(苦笑)。まさに道楽的な楽しみ(笑)。
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「ER」や「House, M.D.」の話をオンライン英会話の30代後半~40代くらいの先生(医学部出身)と話すと大盛り上がりなのだけれど、20代の先生だと、「ふーん、そういう医学ドラマがあったんですか」と言われちゃってガッカリ。ほかにオススメの医療系ドラマって何かありますか?と先生方に訊いてみると、「Bones」とか「グレイズ・アナトミー」あたりは定番として出てくる。あとはなんと言っても日本でこの4月から始まる「Good Doctor」。この話をしたら、英会話のある先生が「私も観てます! すっごく面白いですよね(≧▽≦)」と大絶賛。なんといっても、「ER」や「House, M.D.」みたいな、中年のオジサンたちが主人公ではなく、若く見目麗しい(爆笑)医師が主役というのがまたいいのかもしれない…(爆)。いや中年のオジサンたちも、とってもいい味出してて好きなんですが(*^^*)

医療系のマンガ原作では「フラジャイル」や「コウノドリ」は本当に良い出来で、原作マンガのほうももちろん読んでいるしドラマのクオリティも素晴らしかった。「フラジャイル」の最新刊は泣けましたねぇ(>_<) いいお話でした。「フラジャイル」は病理医なので、診断医である「House, M.D.」に通ずるものがある。どちらも疾患の原因を突き止めることが仕事なので出てくる表現なども勉強になる。

孤高の天才外科が活躍するような話は観ていて面白いけど、いい意味でも悪い意味でも「マンガだなぁ~(=どう考えてもフィクションだよなぁ)」と思わされてしまうので、こちらはあくまでもエンターテインメントとして楽しむ感じ。「外科医・大門未知子」も「ドクターズ・最強の名医」も「最上の命医」も大好きでドラマは楽しかったけど、現実にはまぁ有り得ないよね、と思ってしまうわけで。そういえば昨年行った某がんセミナーで、「ときどきドラマなどで、“この腫瘍を切れる医者はいない”という状況で天才外科医が颯爽と現れて見事に切除する、なんていうのがありますが、基本的に切除できるような腫瘍は良性です。“この腫瘍は切れない”というのは、悪性であちこちに浸潤や転移しているから切れない。そういう悪性腫瘍は天才だろうとなんだろうと切れません」と説明していた。ほおおおおー、そうなのかー。そりゃまぁ外科医の腕の良し悪しだってあるに決まっているけれど、でも、医者側から見ればそういう判断なのか。やっぱりドラマは作り物だよなぁ。

「ドクターK」のシリーズも面白く楽しく読んでいるけれど、あまりに天才外科医すぎて本当にマンガだなぁ…という部分が以前は大きかった。でも今は世代が変わって医学生が主人公になっているので、読んでいると勉強になる部分も多い。こういうところがあるから長期連載シリーズでもやめられない…(^^;; マンガばっかり読んでて全然勉強してないんですよ~、と同業の友人に話したとき、「いやいや、マンガは立派な読書ですよ!」と言ってもらえたので、そうだよね勉強にもなってるし、と前向きにとらえて今日もマンガをせっせと読んでいる(笑)。

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2018年3月11日 (日)

ちくわ論

先日の授業で、内分泌系・外分泌系について生徒さんから質問されたとき、その説明の一環として、「人間のからだはちくわみたいなもの」という説明をした。消化器系が口から肛門まで1本の空洞になっていると考えると、ちょうどちくわみたいなもので、ちくわ=人間のからだ、ちくわの穴=消化器系、という話をしたのだ。この話をするずっと前から、生徒さんに説明するときには何に喩えるのが一番分かりやすいだろうかとアレコレ考え続けていた。マカロニじゃ穴が大きすぎるし、スパゲティには穴がないし、ドーナツだと長さがないし、ドーナツを何個も積み重ねるならいいかもしれないけど…じゃあダルマ落としならちょうどいいかも?(笑)…などとアレコレ考えて、ちくわにたどり着いた。コレは自分でもうまい喩えだ☆と気に入り、きっと生徒さんにも判りやすいだろう、なかなかいいのを考えついた♪と思っていた。

そしたら、やはり、そういうのはとっくに考えてる方はいらっしゃるわけです(^^;; 私みたいな素人でさえ考えるのだから、専門家(医師)が考えないわけがない。あとでググってみたら、ちくわ理論を提唱されてる方がいました(*^^*)

人体は「ちくわ」 消化管の中は体の外
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20160210/med/00m/010/001000c

医師や医療従事者にとってはあまりにも当たり前すぎて、わざわざ患者さんや一般の人に説明する必要もない、ということがこの業界にはものすごく多い。それだけ、医療従事者とそれ以外の人にはとても大きな隔たりがあるということ。ちくわ理論は私が自分でウンウン悩みながら考えついたことではあるのだけれど、そもそもの消化管について(口から肛門までが1本の空洞で、そこは医学的には体外である、という概念)は、私も翻訳勉強会で先生から教えていただくまで知らなかった。医学素人(=私)にとって、そんなことは思いもよらなかったし、教えてもらわなければずっと知らないままだ。解剖学書にも内科の教科書にも書いてないんだもの(実は、これを知ってから探しまくったら、書いてある本もあった…でもすべての本に書いてあるわけではないので、やはり知らなければたどり着かない可能性のほうが高い)。

これと同じような、医療従事者にとってはわざわざ言及する必要もないくらい常識のことなのに、世間一般では知らなくて当然、むしろ言われたら意外すぎてちょっとビックリ、というようなことが、本当にたくさんたくさんある。私自身も今後も勉強し続けていきたいし、自分が知っていることに関してはできるだけ授業で生徒さんたちに伝えていきたいと考えている。まぁ仕事に直結するわけではないし、それを知ったからといって翻訳がうまくなるわけでもないので、トリビアではあるし、知ってどうなるわけでもないんだけど。それなのに(私の場合だけかもしれないけど)、小難しい臨床知識よりも、こういう雑学的なことを知ってるほうが、なぜかちょっと自分で嬉しくなったりする。道楽気分が満たされるとでもいうのかな(笑)。そういう楽しさを生徒さんたちにもたくさん味わってもらいたいなぁ。

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2018年3月10日 (土)

積ん読本

「読書の秋」というくらいだから、一般的には秋のほうが読書気分になるものらしいけれど、私は秋は食欲最優先になるので(笑)どちらかというと春のほうが読書気分。本屋さんでは英語学習書籍が一番売れるのは4月だそうで、皆さん、春は何か新しいことを始めたくなるわけですね。そして5月には早くも挫折する方が多いようですが(私も含めて…爆)。

翻訳筋トレメニューで取り組んでいる書籍も、どれもみんな分厚いのでそう簡単には終わらないものばかりなのだけれど、その一方で「次に読みたい本」はどんどん増えていく。仕事や勉強の調べ物で遭遇する参考書籍、全然関係ないところで見かけた面白そうな書籍、同業の友人などから教えてもらった書籍などは、書籍名を忘れないようにネット本屋さん(ア○ゾンやブ○クオフなど)で検索したついでに「ほしいものリスト」に気軽に登録しているので、あっという間にすごい数に…(今ちょっと数えてみたら、ア○ゾンには270冊ほど登録、ブ○クオフには290冊ほど登録していた…orz まぁ両者でかなりかぶってますが)。

購入したまま積ん読の本も相当な数。特に電子版は隙間時間に読めるだろうと期待してタブレットに放り込んだまま放ったらかしなのでカオスな状態。今年は「なるべく積ん読解消」を目標にしているので(だから1月は積ん読しっぱなしの「病の皇帝」を頑張って読み切ったのだけれど、そこですでに息切れ状態…苦笑)、もっとスピーディにビュンビュン読むぞ!…という意欲だけはあるのに現実が追い付かない。薄い本を次々に読み終えるようにすれば達成感も満足感もコンスタントに維持できるのだろうけれど、悲しいかな医学書関係ってどれも分厚いしサクサク読めるというわけにもいかないので時間がかかるし…(涙)。

それなのに「ほしいものリスト」はさらに増えていくし、春の図書祭りみたいなことをどこでもやっているので、目新しい本をまた買ってしまったりして、いったいいつ読み終わるんだろう…。もちろんこういう読書も「勉強」ではなく「趣味の道楽」なので、お気楽といえばお気楽なのですが。

翻訳筋トレの「Introductory Human Physiology」で参考推薦図書として紹介されていた生理学書:
Vander's Human Physiology
https://www.amazon.co.jp/dp/1259294099/
生理学書はトートラをやっているところなのだけれど、この書籍もア○ゾンの「なか見!検索」でチラっと見たら面白そうで身悶え中。

やさしい基礎生物学
https://www.amazon.co.jp/dp/475812051X/
Ya-Sa-Shi-I Biological Science
https://www.amazon.co.jp/dp/4758120706/
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これは以前に学会に行ったときの書籍販売コーナーで実物を見て猛烈に欲しくなり、原書(日本語)+訳書(英語)をセットで買ってしまったもの。医学や生物系のテキストは英語原書を和訳したものが多くて、和訳版は「翻訳にありがちな不自然な日本語」ということも多いのだけれど、これは原書が日本語でそれを英訳したものなので、生物学の自然な日本語表現の勉強にピッタリなのです。
学会の書籍販売コーナーって悪魔の誘惑なんだよなぁ、一般書店の医学書コーナーよりもピンポイントで欲しくなりそうな書籍ばかりで、ほんっとに困る…(^^;;

はたらく細胞
https://www.amazon.co.jp/dp/4063765601/
現在既刊5巻まで出ているコミック。超お気に入り(≧▽≦) 同業の友人たちや講座の生徒さんにも大絶賛オススメしまくっている(笑)。特に免疫系細胞の違いや働きを理解するにはもってこいで、タブレットに入れて何度も読み返しています(笑)。もちろん、白血球(顆粒球)の寿命は8時間前後くらいと言われてるのに、このマンガの中ではヒーローの白血球クンは次々と襲いかかる疾患と格闘しているわけで、そんな長生きする白血球サンなんて居ませんよ~…と言いたくはなりますが。

はたらく細菌
https://www.amazon.co.jp/dp/4065109108/
上記「はたらく細胞」のスピンオフ版として先月新たに出た書籍で、今回は腸内細菌をメインにしたお話。第1話あたりくらいはごく一般常識レベルの話なので、ちょっとツマンナイかも?と一瞬思ったのだけれど、読み進めていくと結構面白かった。善玉菌ではなくヒールな悪玉菌のほうが主人公というのもちょっと視点が面白い。

インナー・ウォーズ ~免疫細胞たちの闘い
https://www.amazon.co.jp/dp/4315515841/
https://www.amazon.co.jp/dp/3932023102/
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古い本(20年前!)なので、これで勉強するというよりもきれいなイラストを楽しむ絵本という感じ。図書館で見つけて借りて帰ったのだけれど、結局欲しくなって買ってしまった。本当は原書と並べて読みたいところだけれど原書がドイツ語で英語版は出ていないようなので訳書のみで断念(ドイツ語はグーテンタークとダンケシェーンくらいしか知りません…)。この書籍のイラストと、「はたらく細胞」のキャラクターたちをダブらせながら読んで楽しんでいる。

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2018年3月 8日 (木)

癌の歴史

先日のお散歩遠足で出掛けた癌セミナーで、内田春菊著「がんまんが」のポスター展示があり、「あ~、それ読もうと思いながらまだ読んでなかったっけ」と思いだし、帰りの電車の中で読みながら帰宅…という話をブログ記事に書いた。
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がんまんが 私たちは大病している
https://www.amazon.co.jp/dp/4821135663/


著者が大腸癌になり、ストーマ(人工肛門)をつける手術を受けたところまで、で終わっている(手術後の生活、つまりストーマとの付き合いについては続編マンガの「すとまんが」になるそうで、今後出版予定…らしい)。


完結していないこと、続編に引っ張ることに多少の批判は出ているようだけれど(確かに今回の最終ページは、「えっ、そこで引っ張る!?」という終わり方ではあるけれど)、それよりも私が一番「うぉぉぉぉっ!」と思ったのはココでした。
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出た~!(≧▽≦) ムカジーの「病の皇帝」! 年明けにようやく原書を読了した本です。なにしろブ厚い。分厚いけど面白い。面白いんだけど、いや~正直なところ、こんなに単語が難しい書籍は久しぶりだった。1つの文章にPASS単の単語が並ぶなんて、試験問題以外であまり見かけたことがない(Time誌やEconomist誌でも、1パラグラフに2~3個出てくることはあっても、こんなにPASS単だらけの文章はそうそう見ない。いや、私がそういう記事を読んでいないだけなのかもしれないけれど)。このヒト(ムカジーさん)、ラテン語系やギリシャ語系の難解な単語がお好きなんだろうなという印象。ただでさえ単語が苦手な私、普段から(仕事以外では)いちいち辞書を引いたりはしないほうだし、今回はAudioBookを流しながらガンガン読み進めて、それでも読了までにかなり時間がかかった。


ムカジーの「病の皇帝」を私が最初に知ったのは、実は書籍よりもビデオのほうが先だった。原書「The Emperor of All Maladies」はピュリッツアー賞を取ったベストセラー書籍とのことで、期待してビデオを観たらこれがもう面白くて面白くて、2時間ビデオ×3本=計6時間を、3回くらいずつ観た(そして折に触れて観返している)。同業者にも薦めまくり、授業で生徒さんにも薦めまくっている(笑)。先にビデオを観てから原書を読んだので、単語をすっ飛ばして読んでもそれなりに理解できたという部分もあったかもしれない。どうやらビデオのほうは和訳版は出ていないようなので、ウチの翻訳学校の上部に、「コレ、ウチで訳しません?」と訊いてしまったくらいだ(笑)。さすがに長すぎて対応できないと断られたけれど(ウチは癌専門だし、字幕翻訳部門もあるので、うってつけだと思ったんだけどなぁ。医学監修の先生方も興味を持ってくださっていたのに…)。まぁ6時間は確かに長いので無謀と言われても仕方ないけど。

The Emperor of All Maladies(原書)
https://www.amazon.co.jp/dp/B004MPR80E/
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Cancer - The Emperor of All Maladies(ビデオ紹介サイト。一部抜粋で視聴可)
http://www.pbs.org/kenburns/cancer-emperor-of-all-maladies/watch-video/
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病の皇帝「がん」に挑む ― 人類4000年の苦闘(和書・単行本)
https://www.amazon.co.jp/dp/4152093951/
https://www.amazon.co.jp/dp/415209396X/
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分厚い単行本の和書のほうもすぐに購入しちゃっていたのに、読まずに積ん読しているうちに(先に原書を読んでから…と後回しにしていた)、タイトル改訂で文庫版がお安く出てしまった(苦笑)。


がん‐4000年の歴史(改訂文庫版)
https://www.amazon.co.jp/dp/4150504679/
https://www.amazon.co.jp/dp/4150504687/
201803054bunkocover

そして和書を読まないまま、新刊を読みたくなってきた(*^^*)

遺伝子‐親密なる人類史‐
https://www.amazon.co.jp/dp/4152097310/
https://www.amazon.co.jp/dp/4152097329/
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今回もまた上下巻で800ページ…orz 分厚い…取り敢えずまた、原書+AudioBookで頑張って読み進めてみようと考えている。

The Gene: An Intimate History(原書)
https://www.amazon.co.jp/dp/0099584573/
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読みたい本が増えるばかりなので積ん読リストが全然減らない…。ところで新刊の書籍名だけど、どうして内田春菊氏は「ゲイン」と言ってるんだろう??? どこかで何かを見間違えた…の…かな…?? 英語以外の発音でそう読むのかなぁ?(当然ながら各国語に訳されているようなので) マンガでこのヒトコマを見たときは、獲得免疫の話かなぁ?と考えてしまった(笑)。それにしても、癌4000年の歴史、そして次は人類史の遺伝子、壮大なテーマでこんなに緻密に書けるなんてスゴイのひとことです(新刊はまだ読んでませんが「病の皇帝」が本当に圧倒された)。

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2018年3月 7日 (水)

医学挿画

先日のブログ記事で、「内臓パクパク系画像」という表現を使ったのだけれど、一般的にはなんていうんでしょうね。「内臓の画像」…くらいなのかなぁ。私が使う表現は、手術などで胸部や腹部を開けて(いわゆる開胸手術や開腹手術)、術野から臓器が見える状態(胸部であれば心臓がドクンドクンと拍動しているところ、腹部であれば腸の動きなど)を指しているので、単に内臓の画像というよりも、手術の映像、それもライブ手術などで動きがあるものというイメージが近い。

ところで画像とひとくちに言っても、それがイラストなのか実際の写真なのかで随分と印象は変わる。イラストは、ネッターの解剖学書やトートラの解剖生理学書を眺めているだけでも、絵本のように美しいと感じる(笑)。人体のイラストは美しい。解剖学書は正常時の画像なので(つまり、病気をしたり何か体内で異常が生じたときの絵ではなく、健康な時の正常な体内の図)、内臓も組織細胞などの図もやはり美しい。1年半ほど前に、メディカルイラストレーションに関するニュースをテレビでチラっと見たことがあり、そのときに「メディカルイラストレーション学会」が発足すると知った。その後、拠点を西日本として学会が発足し、第1回、第2回学会は西日本で開催されたけれど、今年の第3回は東京開催を予定しているらしい。これはぜひ観たい。ネッター先生の緻密なイラストは本当に感動するし、そのような医学イラストを描く方たちを尊敬します。

日本メディカルイラストレーション学会
http://www.medical-illustration.jp/index.html
日本初 メディカルイラスト展 佐賀大美術館で
http://k-ijishinpo.jp/article/2015/201508/002107.html
病理診断科とメディカルイラストレーションの紹介
https://www.karatsu.jrc.or.jp/var/rev0/0001/4500/mirai14.pdf
私がテレビで見たのは多分このニュースの全国版
https://www.facebook.com/jrcsaga/posts/1090429114344317:0

イラストのほうは(正常解剖学図であれば)美術的で美しいと感じるけれど、実物の写真となると、確かに生々しくて好んで見たいものではない。それでも、私も含めて、この分野で内臓系画像が苦手という人はあまり居ないだろうと思う。仕事で論文の翻訳などをやると、結構バッチリそういった写真がついていることも多い。内臓の写真なんて全然なんともないのだけれど、それよりも外側のほうがちょっと見るのが辛くなる。例えば開胸手術や開腹手術の術野から覗く臓器は平気だけれど、事故などの外傷でお腹がパックリ切れて腸が飛び出しているとか、足を切断した断面の肉や骨とか、そういうほうが直視しづらい。脳内で、「痛い、痛い、痛ぁーーーい!」と連呼してしまう。

それと同じくらい、痛くて見たくない、直視も凝視もしたくないのが皮膚疾患の図。これはもう、痛い!(泣) 痛いだけじゃなく、ゾワゾワする。ザワザワというか、ゾクゾクというか(悪い意味で…背中に冷たい汗をかきそう…)、こっちまで痛痒くなってくる感じでどうにも苦手。正直、内科のテキストを見るときも、皮膚疾患のところだけはできるだけ写真が目に入らないようにササっとめくったり、調べ物でじっくり読まなければならない時はちょっと画像部分を何かで隠したりしてしまう。これに比べたら内臓の画像なんてカワイイものです。そしてなぜか、実物の写真以上に、皮膚疾患のイラストがこれまた無性に痛い! むしろイラストになったほうが痛い。これはどうしてなんだろう。正常時のイラストは芸術的だと素直に感じられるのだけれど、皮膚異常(皮膚病など)のイラストは猛烈に痛痒い(泣)。これ描いてる人は描いてるときに痛くなかったの?と訊きたくなるくらい見ているだけで苦しい…。イラストのほうが細部まで強調して描かれているからなのだろうなぁ…。イラストが精緻すぎて痛みまで伝わってくるということだろうか。

以前に図書館で「描かれた病:疾病および芸術としての医学挿画」という書籍を見かけて手に取って、うわああああぉ…という衝撃を受けた。読みたいとは思ったけれど借りて読む勇気がなく、そのまま書棚に戻した(…けど、結局ずっと気になっていて、こうやってネットでチェックしているのだけれど)。NATUREや医学雑誌などにも取り上げられて、かなり評価の高い書籍ではあるのだけれど、いやこれは…痛い痛い、痒い痒い(涙)。直視できない。皮膚疾患は、写真も痛いけどイラストでも十分に痛い。いつかは読みたい…けど読める気がしない…orz

描かれた病:疾病および芸術としての医学挿画
和書(訳書)
https://www.amazon.co.jp/dp/4309255647/
原書(英語)
Sick Rose: Disease in the Golden Age of Medical Illustration
https://www.amazon.co.jp/dp/0500517347/
(原書版のほうでは、「なか見!検索」で中のイラストを何点か見ることができます)

20180304
海外での書籍レビュー(イラストが数点掲載されているので苦手な方は見ないほうがいいです)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4275993/
http://we-make-money-not-art.com/the_sick_rose_or_disease_and_t/
http://www.cvltnation.com/the-sick-rose/

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2018年3月 6日 (火)

活字の罠

英検の現役チャレンジャーだったころは、読んで判らないときは自分の読解力が低いからだと思い込んでいた。もっと読解力がある人ならきっとスラスラ理解できるんだろう、ネイティブだったら何の苦も無く読めるのだろう、私は読解力がないから読めないんだ…と自己嫌悪になったり自信を喪失したり…はあんまりしなかったけれど(基本的にノーテンキな楽天家なので、まぁそのうち読解力がつけばいつか読めるようになるわ~、と思っていた^^;;)。でも読解力がついてくると、「ナニこれ原文が間違ってるじゃん」とか、「あらヤだ、こんなところでタイプミスしてるよ」とか、「ウソ~、これ意味が通じないよ、絶対notが抜けてるよ~」とか、私が悪いんじゃなく原文が悪いことが多々あることに気が付くようになった。活字媒体はついつい信じ込んでしまうけれど、所詮は人間が作ったものなのだから、印刷物であっても間違いはある。ましてインターネット時代で簡単に誰でも発信できる今では、単純なタイプミスや誤変換(日本語の場合)、誤字脱字、スペルミスなど山のようにある。それが世界で一番有名な雑誌であっても、世界で一番権威ある医学書であっても。

自分の読解力にまったく自信がなかったころと、取り敢えず英検は卒業してそこそこ英文を読めるようになってからとでは、この「活字媒体の間違い」に対する反応に雲泥の差がある。以前は活字のほうが間違えているなんて思いもしなかったので、必死に辞書をひいては、こんな単語どこにも載ってない、でも私が知らないだけで世の中の常識なのかもしれない、意味が通じないよー、どうしようー、などと思ってしまったが、今では逆に、サラっと読んで意味が判らないときは、基本的には私のせいではなく原文のせいだと考えるようになった(爆笑。文章のほうがちゃんと正しくて、単に自分の知識不足で読めていないだけだということももちろんあるのだけれど)。でも自動的にそう思いたくなるくらい、意外なほどに活字媒体のミスは多い。読めない読めないとグルグルさまよっていた当時の自分に、「読めなくて当然だよ、だってこの原文、間違ってるよ」と教えてあげたくなる。

仕事でも、数行にわたる文章のどこにもピリオドがなくて、1パラグラフで1文章だったり、やはり数行にわたる文章のどこにもメインの動詞がなかったり(節ばっかりで、どの部分が本当の主語と動詞なのか判らない!)、そういう英文にときどき遭遇する。当然ながら原文は非英語圏のもの。今後はきっとこういう文書が増えていくのだろうと思う。そして昨今いろいろ騒がれている機械翻訳は、こういう文章には絶対に対応できない。機械翻訳は文法や構文が規則正しければ正しいほど自然な訳文表現が生成できるけれど、文法がおかしい文章はお手上げなのだから。時制がおかしかったり、動詞がなかったり、あるいは動詞が複数あったりするような文章、パっとみて(人間ならすぐに)判るようなスペルミスや誤変換など、そこに書いてある原文のほうに明らかに問題があるにも関わらず、活字になっているのだからコレで正しいのだろうと何の疑いも持たず、読めないのは読解力がないからだと嘆いていた当時の私と、原文に疑いを持つことができない機械翻訳は、訳文対応力は同じようなレベルかもしれない(当然スピードは圧倒的に機械の勝ちですが)。今の私は少しはファジー機能がついた感じかな(笑)。

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2018年3月 5日 (月)

英語筋肉

もうかなり以前の話なのだけれど(10年以上前かもしれない…)、ご近所の沿線系英会話サークルに参加していたことがある。そこは一応日本語禁止で、英語でゲームをやったり、何かひとつのテーマで各自が考えを述べたりというサークルだった(初級~中級者向けのサークルだったので、それほど難しいテーマではない)。おそらく年度替わりか新年のテーマだった気がするけれど、お決まりの「今年の目標」のような話をしたとき、「しばらく英会話をやっていなくて英語筋肉が落ちているので、少し英語筋肉を鍛えたいです~」と私が言ったら、ファシリテーターさんを含めて皆さんが「英語筋肉?(きょとん?)」という感じだった。あれ、英語筋肉って造語かなぁ?と思ったのだけれど、私はそのころから普通に使っていたし、英語の勉強(=もちろん受験勉強などではなく、趣味という意味)をしている人なら知っているものだと思っていた。「英語を話したり読み書きしたりするときに使う能力やスキルのことです。私の場合は特に英会話力が錆びついてるので、英会話のときにもっとスっと言葉が出てくるような口周りのスムーズな動きとか、頭の中でいちいち英作文しなくても英語が出てくるような流れとか、そんな働きのことです」と説明した(あ、上記の遣り取りはもちろんすべて英語です、日本語禁止だったので)。今ググってみても「英語筋肉」は結構出てくるので、私の造語ではないことは確かだ(笑)。定義はいろいろありそうだけれど。

ここ最近、同業者の中でよく話題になるのが「翻訳筋トレ」。おそらくそんな名称をつけたりしなくても、この仕事をしている人なら誰でもずっと当たり前にやっていることなのだろうけれど、翻訳の仕事以外で毎日トレーニングとして課している定番メニューのこと。人によって、毎日一定量の英語を読むことだったり、日本語を読むことだったり、リスニングだったり、音読だったり、さまざまだろうけれど、何もやっていないという翻訳者は居ないだろう。そういえばこれまたずっと前の話だけれど(私が英検現役受験生だったころ…20年くらい前かも…orz)お世話になった英検2次対策専門学校の先生が、毎日2時間はリスニングするとおっしゃっていた。2次試験はインタビューなので、ネイティブとのインタビューの模擬対策をする立場としては当然ながらスピーキングもリスニングもネイティブ並みでなければならないし、リスニングをサボるとすぐにそれが日々の授業に出てしまうので欠かさずにリスニングしている、とのこと。別に翻訳に限らず、語学関係の仕事に限らず、どんな仕事だって、みんな仕事のスキルアップのために仕事以外の場所で自分自身のトレーニングをしているはず。プロのスポーツ選手なら試合に出る以外の場所で、基礎トレーニングとしてランニングや柔軟体操をやるのは当たり前。ランニングやうさぎ跳び(ってなんとなく運動部の基礎練メニューで必ず思い浮かぶんだけど、今でもうさぎ跳びってやるんでしょうかね?)と同じように、私たちの仕事ならではの筋トレがあるだけの話。

同業のAさんは毎日必ず医学書(日本語で書かれたもの)を読むというし、同業のBさんは英語+日本語を並べて論文を読むという。私は毎日ではなく1週間を日替わりで、医学書、生物学書、解剖学、論文、などを日本語と英語で取り混ぜたメニューにしている。もっと仕事での英訳の比重を高めたいという下心があるので翻訳筋トレも英語の比重がやや高め…(^^;; でもやはり、英語筋肉は使わないとすぐに錆びつくのでなんとか維持したいからという理由が大きいかな。もちろんリスニングも毎日やっておりますです。今はPodCastで何でも無料で聴けるのがありがたい限り。NEJMとJAMAのPodCastは定番中の定番で、聴き流すだけでも意味はあると感じている(最新の研究結果みたいな難しい医学的内容はチンプンカンプンでもいいけど、何度も繰り返し聴いているうちに、たとえば投与に関する自然な英語の言い回しや表現、コロケーションなどがスっと入ってくる)。私の場合、医学書を読むよりもリスニングのほうがこういう表現は脳ミソに残りやすい気がする。

数年間ずっと取り組んでいたメルクマニュアルが終わったので、さて次の新しい翻訳筋トレメニューには何を取り入れようかな、とちょっと楽しいウキウキ気分を満喫中。

現在の私の翻訳筋トレメニュー:
(といっても仕事が押してくるとサボっちゃうこともままあるのですが…)

【医学・生物学関係】
月曜日:Life: The Science of Biology
https://www.amazon.co.jp/dp/131912657X/
言わずと知れた生物学の大人気書籍「カラー図解 アメリカ版 大学生物学の教科書」の原書。訳書は改訂版が全然出てないのがちょっと残念…(原書はすでに11版なのに和書は原書8版準拠のまま…orz)
https://www.amazon.co.jp/dp/4062576724/

火曜日:Essential Cell Biology
https://www.amazon.co.jp/dp/4524261990/
https://www.amazon.co.jp/dp/4524261990/
これまた、言わずと知れた細胞生物学の大御所「Molecular Biology of THE CELL」(通称「The Cell」)の縮小版、通称エッセンシャル。これは月例勉強会で原書と日本語の訳書を並行して輪読しているので、その復習もかねてデータベース化している。エッセンシャルの日本語は独特で読んでいてとても面白い。
同業の友人も、仕事で分子関係の話がでてきたときには辞書代わりにエッセンシャルをよく引いていると言っていたがまったく同感。

水曜日:CURRENT Medical Diagnosis and Treatment
https://www.amazon.co.jp/dp/1259861481/
通読を試みながら早や何年…という感じでまったく追いつかないのだけれど(何しろ敵は毎年改訂されるのだ…)チマチマと読み続けている。15年ほど前に、日経が和訳版を出していたことがあるのだけれど(そして衝動的に購入したものが今も本棚に飾ってあるけれど、笑)毎年改訂される医学書の和訳版を出版しても元が取れないと判断されたのか、数年で市場から消え失せてしまった。。。でもハリソンなどに比べると英語が平易なので原書で読んでも問題ない。

木曜日:Washington Manual of Medical Therapeutics
https://www.amazon.co.jp/dp/1469890240/
https://www.amazon.co.jp/dp/4895928004/
原書と和書を並べて翻訳筋トレ+対訳作業化している。実務に直結して役に立つという意味ではこれがダントツ!

金曜日:Tortora Introduction to the Human Body
https://www.amazon.co.jp/dp/1118583183/
https://www.amazon.co.jp/dp/4621300695/
月例翻訳勉強会の理系出身メンバーの方々から推奨していただいた本。とても判りやすくて気に入っている。こちらも、解剖学関係で判らないことがあった時に辞書代わりに活躍している。

【リスニング】
NEJM This Week
http://www.nejm.org/multimedia/audio-summary
JAMA Editors' Summary
https://jamanetwork.com/journals/jama/pages/jama-editors-summary
ABC World News Tonight with David Muir
http://abcnews.go.com/WN

【解剖生理学ビデオ】
An Introduction to Anatomy and Physiology
https://www.thegreatcourses.com/courses/understanding-the-human-body-an-introduction-to-anatomy-and-physiology.html
Introductory Human Physiology
https://www.coursera.org/learn/physiology?utm_medium=email&utm_source=marketing&utm_campaign=CZsVMAI5EeiEfkve0dBSRg

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2018年3月 4日 (日)

色々な色

昨日はとっても良いお天気だったので遠足に行ってきた。いやー、本当にいいお天気だった☆ まず久しぶりに東大に行き、医学博物館がどうなっているのかをチェック。ここは同業の友人たちもお気に入り&お馴染みの遠足スポット。年1~2回くらいお邪魔している。今は4月改装開館に向けて工事中ということなので、もう工事も終盤かな?と思いきや、単なる改装ではなく移転するのだった。ということでまだ全然どうなるのか見えなかった。桜の木の真ん前で良いロケーションだったのに…移転先がどこなのかは判らないけれど、また桜の近くだといいなぁ。以前の東大医学博物館の遠足記録もそういえばブログに載せていたっけ。

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見学後に赤門前の海鮮丼屋さんでランチ。その名も赤門マウンテン丼。でもそんなに山盛りには見えなかった(もっと、ドドーンと山盛りかと期待したのに…)。隣近所の席のお客さんもみんなコレを注文していたので人気メニューではあるらしい。
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ランチ後にポカポカ陽気の中を御茶ノ水まで歩いて東京医科歯科へ。コレに参加してきました~。

201803035event

http://www.cancernet.jp/eve/20180305BRC_a4_171204.pdf

http://www.cancernet.jp/21410

癌の啓発キャンペーンで一番有名なのはやっぱり乳癌のピンクリボンではなかろうか。大腸癌はブルーリボンで、膵臓癌はパープルリボン。このあたりまでは判りやすいんだけど、ちょっと日本人には馴染みづらい色の名前がついていたりするものは正直とっつきにくい感はいなめない。こんなにたくさん種類があるのもビックリ。多すぎてちょっと覚えられないけれど、実際の患者さんにとってはこういうふうに分けられているほうが判りやすいし啓発には一役買っているのだろう。色の名前がついたほうがちょっと気分的にも和らぐものもあるだろうし。

20180304color
http://www.cancernet.jp/facebook/
http://www.kpu-m.ac.jp/j/drcc/information/iro.html

取り敢えず始まる前に化粧室…と女子トイレに入ったら…ト、トイレットペーパーが!(≧∇≦)
コレどこで売ってるんだろう? 会場で売ってるなら買って帰ろうかしら(笑)
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スタッフさんに聞いたら、なんと衝撃の1ロール500円! た、たかすぎるるるる! だって消耗品じゃん! 使わずに飾っておけってこと? でもコレ、くるくる紙を引き出してこそ啓発活動の意味があるのでは…結局高すぎて買うのは断念した…普段使ってるヤツが多分1ロール30円くらい(12個入り350円くらいのを使っております)なので、えーと15倍以上するぢゃんっ! 消耗品でそれはナイ…。でも部屋に1個くらい飾っておきたい気もした(笑)。
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さて肝心(←医療周辺従事者としてはこの表記は好きじゃないんだけど、今は「肝腎」よりも「肝心」のほうが市民権を得ている表現みたいなのでこう書いておく)のセミナー内容もなかなか興味深かった。今回学んできたことを簡単にメモに残しておく。

括約筋間直腸切除術 ISR
https://medicalnote.jp/contents/170111-004-JJ


内視鏡的粘膜下層剥離術 ESD
http://www.onaka-kenko.com/endoscope-closeup/endoscopic-therapy/ep_08.html


画像強調観察 NBI
http://www.onaka-kenko.com/endoscope-closeup/endoscope-technology/et_07.html


ポリペクトミー EMR
http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cancernavi/daicho/column/201304/529624.html


大腸癌治療ガイドライン
http://www.jsccr.jp/guideline/2016/index_guide.html
(これは日本語と英語が両方あるので並べてチェックしたい!)


がん診療レジデントマニュアル 第7版
https://www.amazon.co.jp/dp/4260027794
薬物療法の奏効別に4クラスに分類されていた癌腫が、この20年くらいでどのように変わったのか(=薬物療法が効きやすくなった=治りやすくなった)、がん診療レジテントマニュアルの旧版と比較して紹介された部分がとても分かりやすかった。

内視鏡 ピットパターン
https://www.olympus.co.jp/jp/news/2006b/nr061226evissj.html
(【大腸癌、ピットパターン】で画像検索するとものすごくたくさんの画像がでてくる。いわゆる「内臓パクパク系」(と私は呼んでいる)の画像が苦手な人は見ない方が良いが、この業界に居てこの分野の仕事をしている人はそういうのはおそらく平気でしょう。病理画像のように色を付けた画像が多いが、結構すごいです)

そういえば、やはり東京医科歯科で行われた昨年の癌セミナーに参加した時も感じたのだけれど、結構サラっと「内臓パクパク系画像」をプレゼンにどんどん盛り込んでいる。一般市民向け講座ではあるけれど、おそらく想定しているセミナー出席者は癌患者本人やその家族・友人なので、実際の画像を見せてもよい(むしろ実際のものを見たがるだろう)と判断しているのかもしれない。内臓系が苦手な人はちょっとタイヘンかもしれないけど。

セミナー内容はすべて後日インターネットで無料視聴可能とのことなのでご興味ある方はそちらにどうぞ。

展示ブースで紹介していた内田春菊の「がんまんが」をそういえばタブレットに放り込んだまま、まだ読んでいなかったので、帰りの電車の中でコレを読みながら帰宅。なかなか楽しい春のお散歩でした☆
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