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2018年3月 7日 (水)

医学挿画

先日のブログ記事で、「内臓パクパク系画像」という表現を使ったのだけれど、一般的にはなんていうんでしょうね。「内臓の画像」…くらいなのかなぁ。私が使う表現は、手術などで胸部や腹部を開けて(いわゆる開胸手術や開腹手術)、術野から臓器が見える状態(胸部であれば心臓がドクンドクンと拍動しているところ、腹部であれば腸の動きなど)を指しているので、単に内臓の画像というよりも、手術の映像、それもライブ手術などで動きがあるものというイメージが近い。

ところで画像とひとくちに言っても、それがイラストなのか実際の写真なのかで随分と印象は変わる。イラストは、ネッターの解剖学書やトートラの解剖生理学書を眺めているだけでも、絵本のように美しいと感じる(笑)。人体のイラストは美しい。解剖学書は正常時の画像なので(つまり、病気をしたり何か体内で異常が生じたときの絵ではなく、健康な時の正常な体内の図)、内臓も組織細胞などの図もやはり美しい。1年半ほど前に、メディカルイラストレーションに関するニュースをテレビでチラっと見たことがあり、そのときに「メディカルイラストレーション学会」が発足すると知った。その後、拠点を西日本として学会が発足し、第1回、第2回学会は西日本で開催されたけれど、今年の第3回は東京開催を予定しているらしい。これはぜひ観たい。ネッター先生の緻密なイラストは本当に感動するし、そのような医学イラストを描く方たちを尊敬します。

日本メディカルイラストレーション学会
http://www.medical-illustration.jp/index.html
日本初 メディカルイラスト展 佐賀大美術館で
http://k-ijishinpo.jp/article/2015/201508/002107.html
病理診断科とメディカルイラストレーションの紹介
https://www.karatsu.jrc.or.jp/var/rev0/0001/4500/mirai14.pdf
私がテレビで見たのは多分このニュースの全国版
https://www.facebook.com/jrcsaga/posts/1090429114344317:0

イラストのほうは(正常解剖学図であれば)美術的で美しいと感じるけれど、実物の写真となると、確かに生々しくて好んで見たいものではない。それでも、私も含めて、この分野で内臓系画像が苦手という人はあまり居ないだろうと思う。仕事で論文の翻訳などをやると、結構バッチリそういった写真がついていることも多い。内臓の写真なんて全然なんともないのだけれど、それよりも外側のほうがちょっと見るのが辛くなる。例えば開胸手術や開腹手術の術野から覗く臓器は平気だけれど、事故などの外傷でお腹がパックリ切れて腸が飛び出しているとか、足を切断した断面の肉や骨とか、そういうほうが直視しづらい。脳内で、「痛い、痛い、痛ぁーーーい!」と連呼してしまう。

それと同じくらい、痛くて見たくない、直視も凝視もしたくないのが皮膚疾患の図。これはもう、痛い!(泣) 痛いだけじゃなく、ゾワゾワする。ザワザワというか、ゾクゾクというか(悪い意味で…背中に冷たい汗をかきそう…)、こっちまで痛痒くなってくる感じでどうにも苦手。正直、内科のテキストを見るときも、皮膚疾患のところだけはできるだけ写真が目に入らないようにササっとめくったり、調べ物でじっくり読まなければならない時はちょっと画像部分を何かで隠したりしてしまう。これに比べたら内臓の画像なんてカワイイものです。そしてなぜか、実物の写真以上に、皮膚疾患のイラストがこれまた無性に痛い! むしろイラストになったほうが痛い。これはどうしてなんだろう。正常時のイラストは芸術的だと素直に感じられるのだけれど、皮膚異常(皮膚病など)のイラストは猛烈に痛痒い(泣)。これ描いてる人は描いてるときに痛くなかったの?と訊きたくなるくらい見ているだけで苦しい…。イラストのほうが細部まで強調して描かれているからなのだろうなぁ…。イラストが精緻すぎて痛みまで伝わってくるということだろうか。

以前に図書館で「描かれた病:疾病および芸術としての医学挿画」という書籍を見かけて手に取って、うわああああぉ…という衝撃を受けた。読みたいとは思ったけれど借りて読む勇気がなく、そのまま書棚に戻した(…けど、結局ずっと気になっていて、こうやってネットでチェックしているのだけれど)。NATUREや医学雑誌などにも取り上げられて、かなり評価の高い書籍ではあるのだけれど、いやこれは…痛い痛い、痒い痒い(涙)。直視できない。皮膚疾患は、写真も痛いけどイラストでも十分に痛い。いつかは読みたい…けど読める気がしない…orz

描かれた病:疾病および芸術としての医学挿画
和書(訳書)
https://www.amazon.co.jp/dp/4309255647/
原書(英語)
Sick Rose: Disease in the Golden Age of Medical Illustration
https://www.amazon.co.jp/dp/0500517347/
(原書版のほうでは、「なか見!検索」で中のイラストを何点か見ることができます)

20180304
海外での書籍レビュー(イラストが数点掲載されているので苦手な方は見ないほうがいいです)
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4275993/
http://we-make-money-not-art.com/the_sick_rose_or_disease_and_t/
http://www.cvltnation.com/the-sick-rose/

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