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2016年10月 7日 (金)

テキスト

ときどき話題に出している、私が初めて通った翻訳学校。講師が現役医師で、アメリカでも臨床経験がある方だったのでテキストは当然ながら海外モノだった。私は当時すでに製薬会社での勤務経験もあったし、業界内のこともある程度は知っていたけれどズブの素人には変わりはないわけで、会社の図書室にステッドマンが転がっているのは知っていたけれど(というか日常業務で使っていたけれど)、いわゆる業界の定番テキストについては何も知らなかった。だから、その学校に通い始めた初回の授業で、ハリソンやセシルの名前を初めて聞き(そしてその後に会社の図書室に行ったらハリソンが置いてあって感動したものです)、ナンノコトヤラ判らないまま、でもとにかく必死にメモだけはした。内科はハリソン、外科はサビストン、解剖学はネッター、薬理はグッドマン・ギルマン、などなどズラっと各科ごとの定番テキストを滝のように並べたてられて、「ナンノコトヤラ判らないけどいつか読む!」と心の中で思っていた。そうして今、仲間たちとハリソンを読む勉強会を続けていられるのが非常にありがたい。

そのときに、日本語のテキストで勉強してはダメだと言われた。別にそれを鵜呑みにするわけではないし、日本語にだって良い教科書はたくさんあることも今は判っている。でも翻訳に従事している以上、日本語だけ、英語だけで勉強してもインプットが足りない。やはり両方を並べて見比べることができるのは非常にメリットが大きい。両方並べることで初めて、「あれ、原文と訳文の言ってることが違う…(=どちらかの記載が間違っている。原文が違うこともあれば、単純に訳文の方が誤訳のこともある。誤った原文を正しく和訳してる部分は感動モノ)」とか、「あれれ、原文がバッサリ削除されてる(=日本の事情と異なるために和訳版では記載が削除されているなど)」など、見比べているからこそ気づくことが多々ある。

そんなわけでもともと海外版のテキストが好きな私だが、インターネット時代になって、ますます海外版テキストにほれ込んでいる。付属DVDなどで図やアニメーションなどがみられるのは当たり前だが、海外版のテキストは購入者用のウェブサイトにさまざまなサービスがある。日本のテキストにもそういうものがあるのかどうかは知らないのだけれど、最近の海外版のテキストは、購入者ではなくても、誰でも無料でみられるアイテムも満載なのだ。

たとえばこの本。和訳版は「大学生物学の教科書」で有名だけど、訳本のほうは確か第8版準拠で、原書のほうは第10版(そろそろ第11版がでそうな気がする)。

201610lifecover_2
Life: The Science of Biology
https://www.amazon.co.jp/dp/1464141223/

Sample_3

先日のJAMT翻訳講座の内容がDNA複製フォークに関するものだったので(NATUREの論文を取り上げてしまったので非常に内容が難しかったのだ…)、複製フォークについていろいろ調べているときにこのテキストを開いたら、アニメーションがとても判りやすくて感動したのだけれど、それ以上に、「ネット上で公開されていて誰でも見られる」ということに衝撃を受けた。こんな素晴らしいサービス、日本の教科書でやってくれてるところはあるんだろうか?(もしあるなら、ご存知の方はぜひ教えてください)。LIFEのテキストの中には、いたるところにこのようなQRコードがあり、それを読み取るか、あるいは記載のURL(この場合は【Life10e.com/at13.4】)をそのままアドレスバーに貼りつけるだけで動画を視聴できる。今までときどきこの本を開いていたのに気付かなかった自分はなんてアホなんだろうと思った…orz

もうひとつ、こちらのテキストも参考資料が豊富。

201610virologycover_2
Principles of Virology 4th
https://www.amazon.co.jp/dp/1555819516/

テキスト内にバーコードやQRコードがあるわけではないが、そのものずばりでURLがたくさん記載されている。こちらも動画やインタビュー、画像など、情報がテンコモリで誰でも見ることができる。

201610linksample_2
こういった資料を潤沢に学習者に用意してくれるというのは本当に素晴らしい。日本の教科書は値段もさることながら、学習者に対して少し閉鎖的に感じる。オンライン講座も、GAKKOを始めとして日本でも少しずつ専門的学習ができるサイトも増えてきたけれど、それでもまだまだ、海外のKhanやCourseraのように、びゅんびゅん勉強できる環境が整っているとは言えない。まぁ私もなかなかKhanやCourseraを使いこなせてはいないのだけれど。オンライン講座は締め切りに追われてしまうけれど、テキストなら自分のペースでゆっくり読んだり調べたりできるので、これからも海外版のテキストを愛用させていただくつもり☆
gacco講座
http://gacco.org/

Khan Academy
https://www.khanacademy.org/
https://ja.khanacademy.org/

Coursera
https://www.coursera.org/

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