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2007年12月29日 (土)

年内最後

年内最後の「おうち仕事」(定期案件)の納期を目前に必死になっていたとき、そのエージェントさんから連絡が来た。うわー待ってよ、まだ納期時刻じゃないでしょ、急かさないでー!と内心思ったら…催促ではなかった。この定期案件という仕事だが、私の想像だけれど、国内で行なわれている各種学会で配布された抄録集やポスターセッションなどの紙媒体から、エンドクライアントさんがその都度、必要なものをピックアップして、毎回数本~十数本(?)の論文の英訳を依頼する、というもののようだ。ハードコピーをエージェントさんにFAXで送付し、エージェントさんはそれを画像PDFにして私たちに送ってくる(←毎回とっても読み取りが面倒…)。そして翻訳エージェントさんは、定期案件のプロジェクトチームみたいなものを複数の翻訳者(=私を含む)で作っているようで、そのときどきの依頼本数を個々の訳者に割り振っていく。本当に分量はマチマチ。学会スケジュールを丹念に追っていけば把握できるのかも知れないが。ほかに訳者さんが何人いるのかも知らないし、他の方々がベテランで私の倍くらい担当しているかもしれないし、全体量も判らない。

その定期案件を、時計をにらみながら作業していたときの緊急連絡だった。何かと思ったら、他の訳者さんが訳したものに訳抜けがあったので対応して欲しいという。あら。なんだか似たような話が以前に…(といっても1年半も前だが)。あの時はまったく関係ない仕事だった。今回は明らかに同じエンドクライアントさんの、いつもの定期案件。そして、今回の訳抜けは本文ではなく、レジェンド(図表の凡例や説明文)部分がごっそり、というものだった。

先日の納品分だな、とピンと来た。ちょうど2~3日前に納期があったのだ。私はたまたまその後に追加が来たので、その作業をしていたのだが、本来ならあれで「年内最後」という話だった。私たち訳者が納品したあと、エージェントさんが社内チェックしているときに訳抜けに気がついたんだろう。特にレジェンド(図表の説明やキャプション)なので、普通は一番最後にまとめて訳しておいたりするので、最後の最後まで気が付かなかったんだろうな。訳者さんのほうは、「年内最後」を納品して安心してどこかに出掛けてしまったのかも。去年私が訳抜け対応を頼まれたのもちょうど夏休み時期だったので訳者さんに連絡がつかなかったようだし、今回もまさに年末年始の冬休み時期。そして、先日の納品分ということは、エンドクライアントさんへの最終納品が今日あたり…なるほど緊急だ。

今日の納品分は少しくらい遅れても構わないのでこちらを優先して対応して欲しい!とコーディネーターさん。そりゃそうだろう、今日の私の納品分は、エンドクライアントさんにはきっと明日以降、あるいは年明けの納品だろうから、時間も何とか遣り繰りできるのだろうし。「少しくらい遅れても構わない」の一言で安心して(笑)訳抜け対応をお引き受けした。ところが原文しか送ってくれない。そりゃ原文があれば訳しますけどね、レジェンドの訳なんだから本文の訳も一緒に送ってくれれば良いではないか。グラフや図の項目は、単語や短い箇条書き風の言葉が並ぶだけなので分量が少ないし、好き勝手にホイホイ訳して良いなら5~10分程度で終わる。でも、「○○スコア」という和文が、本当に英単語の「score」で良いのか調べなければならないし、英訳した論文中ではどのような英語表現を使っているのか確認して表記を合わせなければならない。もしかしたら本文では「point」かもしれないし、「rating」かもしれない。カタカナは信用ならん。最初からレジェンドの訳だけをエンドクライアントさんが依頼してきたというならまた別だけれど、本文がすでに訳されていて、エンドクライアントさんが最終的にまとめて受け取るのだからバラバラな訳にするわけにはいかない。分量が少なくて短いものは簡単だなどと思ってはいないし、そんなことも言っていない。自分ひとりが読むだけならサクサク読めて好き勝手に訳せるが、「成果物」として出す場合は別だ。こんな、言うまでも無い当たり前のことをゴチャゴチャ書く私も私だが(笑)。

そんなわけで、他の訳者さんが訳して納品したであろう本文の英訳を参考に送ってください、とお願いした。すぐにワードファイルが送られてきた。こっちから頼まなくても最初に一緒に送って欲しいんだけどなぁ…。「その部分だけ」で訳せるものじゃないことくらいエージェントさんだって充分に判っているだろうに。かくして、原文(日本語)と英訳した原稿とを照らし合わせながら、レジェンドに関して言及している本文を探し、対応表現をチェックして揃えるべき言葉を拾っていく。「図」は「figure」ではなく「chart」を使っているなぁ、とか、年齢表記は本文の言い方で揃えておかなきゃ、とか。

小1時間ほどで仕上げて返送してから、「遅れてもいい」と言われた本来の案件に戻った(=正確には「少しくらいなら」遅れてもいい、と言われたのだが、この時点で私の頭の中では「少しくらい」という言葉は宇宙の果てに飛んでいた、笑)。その後、無事に納品を済ませ、「おうち仕事」納めとなった。今のところ訳抜けの連絡は来ていないので(笑)、年内最後の案件は問題なく終わったようだ。

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