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2007年12月31日 (月)

この一年

ここ何年か、ずっと「来年こそフリーランスの翻訳者になる!」という目標を立てては、年末に「…下方修正…もう少し掛かりそう…」ということを繰り返してきたのだが。もちろん、今でもフリーランス翻訳者として仕事をしたい気持ちは変わらないが、今の勤め先に不満がないので、当面は二足のワラジでも良いかなぁと思っている。

何しろ勉強になる。翻訳エージェントさんに依頼する側の立場を経験させてもらえたり、会社のレセプションパーティでカリスマ通訳者さんに会えたりするのは、会社勤めをしているからこそだ。フリーランスの引きこもり自宅生活になったら、絶対にそんな経験は出来ない。治験用のプラセボのサンプルの味見をしたり(笑)、治験施設の選定会議に出席させてもらったり。今まで、ずっと何年も製薬会社で働いているけれど、こんなふうに中核部分に参加させていただける企業は今回が初めて。もちろん、会社に居れば参考資料や文献などが豊富にある(=個人レベルでは到底購読できないような定期購読の医学雑誌があふれている)というのもありがたいけれど、それより何より、翻訳会社とのやりとりの現場にいるということ、そしていろんな会議に出席させてもらえるというほうがずっと大きいように思う。当面は今の仕事を続けるほうが私にとってはベストなんではなかろうか。

もともと、そんなに焦って目標到達だけを目指しているわけではない。自分が納得できる形で進んでいけば良いと思っているので、完全フリーランス移行はもう少し先になりそうだなぁ。でも、来年は「おうち仕事」をすぐに修羅場にさせてしまうようなやり方は慎もう…。身が持たない(笑)。

この一年間、ご訪問ありがとうございました。好意的に読んで下さった読者さんも、悪意のある読者さんも(笑)。来年もお手柔らかにお願いいたします。

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2007年12月29日 (土)

年内最後

年内最後の「おうち仕事」(定期案件)の納期を目前に必死になっていたとき、そのエージェントさんから連絡が来た。うわー待ってよ、まだ納期時刻じゃないでしょ、急かさないでー!と内心思ったら…催促ではなかった。この定期案件という仕事だが、私の想像だけれど、国内で行なわれている各種学会で配布された抄録集やポスターセッションなどの紙媒体から、エンドクライアントさんがその都度、必要なものをピックアップして、毎回数本~十数本(?)の論文の英訳を依頼する、というもののようだ。ハードコピーをエージェントさんにFAXで送付し、エージェントさんはそれを画像PDFにして私たちに送ってくる(←毎回とっても読み取りが面倒…)。そして翻訳エージェントさんは、定期案件のプロジェクトチームみたいなものを複数の翻訳者(=私を含む)で作っているようで、そのときどきの依頼本数を個々の訳者に割り振っていく。本当に分量はマチマチ。学会スケジュールを丹念に追っていけば把握できるのかも知れないが。ほかに訳者さんが何人いるのかも知らないし、他の方々がベテランで私の倍くらい担当しているかもしれないし、全体量も判らない。

その定期案件を、時計をにらみながら作業していたときの緊急連絡だった。何かと思ったら、他の訳者さんが訳したものに訳抜けがあったので対応して欲しいという。あら。なんだか似たような話が以前に…(といっても1年半も前だが)。あの時はまったく関係ない仕事だった。今回は明らかに同じエンドクライアントさんの、いつもの定期案件。そして、今回の訳抜けは本文ではなく、レジェンド(図表の凡例や説明文)部分がごっそり、というものだった。

先日の納品分だな、とピンと来た。ちょうど2~3日前に納期があったのだ。私はたまたまその後に追加が来たので、その作業をしていたのだが、本来ならあれで「年内最後」という話だった。私たち訳者が納品したあと、エージェントさんが社内チェックしているときに訳抜けに気がついたんだろう。特にレジェンド(図表の説明やキャプション)なので、普通は一番最後にまとめて訳しておいたりするので、最後の最後まで気が付かなかったんだろうな。訳者さんのほうは、「年内最後」を納品して安心してどこかに出掛けてしまったのかも。去年私が訳抜け対応を頼まれたのもちょうど夏休み時期だったので訳者さんに連絡がつかなかったようだし、今回もまさに年末年始の冬休み時期。そして、先日の納品分ということは、エンドクライアントさんへの最終納品が今日あたり…なるほど緊急だ。

今日の納品分は少しくらい遅れても構わないのでこちらを優先して対応して欲しい!とコーディネーターさん。そりゃそうだろう、今日の私の納品分は、エンドクライアントさんにはきっと明日以降、あるいは年明けの納品だろうから、時間も何とか遣り繰りできるのだろうし。「少しくらい遅れても構わない」の一言で安心して(笑)訳抜け対応をお引き受けした。ところが原文しか送ってくれない。そりゃ原文があれば訳しますけどね、レジェンドの訳なんだから本文の訳も一緒に送ってくれれば良いではないか。グラフや図の項目は、単語や短い箇条書き風の言葉が並ぶだけなので分量が少ないし、好き勝手にホイホイ訳して良いなら5~10分程度で終わる。でも、「○○スコア」という和文が、本当に英単語の「score」で良いのか調べなければならないし、英訳した論文中ではどのような英語表現を使っているのか確認して表記を合わせなければならない。もしかしたら本文では「point」かもしれないし、「rating」かもしれない。カタカナは信用ならん。最初からレジェンドの訳だけをエンドクライアントさんが依頼してきたというならまた別だけれど、本文がすでに訳されていて、エンドクライアントさんが最終的にまとめて受け取るのだからバラバラな訳にするわけにはいかない。分量が少なくて短いものは簡単だなどと思ってはいないし、そんなことも言っていない。自分ひとりが読むだけならサクサク読めて好き勝手に訳せるが、「成果物」として出す場合は別だ。こんな、言うまでも無い当たり前のことをゴチャゴチャ書く私も私だが(笑)。

そんなわけで、他の訳者さんが訳して納品したであろう本文の英訳を参考に送ってください、とお願いした。すぐにワードファイルが送られてきた。こっちから頼まなくても最初に一緒に送って欲しいんだけどなぁ…。「その部分だけ」で訳せるものじゃないことくらいエージェントさんだって充分に判っているだろうに。かくして、原文(日本語)と英訳した原稿とを照らし合わせながら、レジェンドに関して言及している本文を探し、対応表現をチェックして揃えるべき言葉を拾っていく。「図」は「figure」ではなく「chart」を使っているなぁ、とか、年齢表記は本文の言い方で揃えておかなきゃ、とか。

小1時間ほどで仕上げて返送してから、「遅れてもいい」と言われた本来の案件に戻った(=正確には「少しくらいなら」遅れてもいい、と言われたのだが、この時点で私の頭の中では「少しくらい」という言葉は宇宙の果てに飛んでいた、笑)。その後、無事に納品を済ませ、「おうち仕事」納めとなった。今のところ訳抜けの連絡は来ていないので(笑)、年内最後の案件は問題なく終わったようだ。

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2007年12月26日 (水)

フル論文

先日アブストラクトの翻訳でトライアル案件に合格した後に、フル論文のご依頼をいただいたワケだが。フル論文1本で納期は約10日ほど。治験系の文書よりも論文のほうが好きな私は、いずれは論文メインの翻訳者になりたいと思っているので、論文の翻訳のご依頼をいただくと嬉しい。でも、治験文書に比べて論文のほうが、「定形的な表現」が少ないし、当然ながら内容を理解するには専門知識が必要になる。治験文書は役所が読む文書だし作成している製薬会社の人間だってそんなに専門家ばかりではない。でも、論文は医者が読むためのものなので、書くほうも読むほうも医者レベルの知識が前提になっている(というより、ほとんどが、医者が医者のために書いているんだよなぁ)。

論文の翻訳は、やはりある程度の医学知識を持っている人がやっていることが多いように思う。私が以前に翻訳授業を受けていた先生は論文メインの翻訳者だが、医学のバックグラウンドをお持ちなのだ。論文1本で納期はだいたい1週間くらいだとおっしゃっていた(=それ以下の納期だと、きちんと内容を理解して訳すことは難しいとおっしゃっていた)。図表にも全部目を通して、参考文献も確認して、1本の論文をきちんと理解して、正確な医学知識の元で翻訳をなさる。私には当然ながらムリだけれど、私が理想とする在宅翻訳スタイルだ。週に論文1本を訳して、例えば1ヵ月に論文4~5本を訳すとして、それで生活していけるとしたら…論文1本あたりの翻訳料金は10万円くらい…? ひぇぇぇ~、私の翻訳スキルでは、論文1本あたり、その数分の一である。。。ということは数をこなさなければならないが、治験文書と違って繰り返しが少ないのであまりスピードアップできない。納期を短くすれば単純に翻訳の質は下がる。あぅぅぅ。論文メインの翻訳者になるというのも至難の業。

でもまぁ、単価は安いものの(=分相応ということだ)、納期10日でフル論文1本のご依頼というのはちょっと嬉しい。機嫌を良くしていたら、納品前に追加で(同じエンドクライアントさんから同じ分野の)フル論文のご依頼をいただいた。えっ、まだ1本目の論文の出来具合も見ていないのに(というか納品もまだなのに)私で良いんですか? もっと上手な人もいるだろうに。追加の論文の納期は1週間ほど。ちょっと短くなったけど、まぁ同じ分野だしスムーズに作業に入れそうだから大丈夫だろうということでお引き受け。

1本目を納品し、2本目の作業をしていたら、さらに追加でフル論文のご依頼。えっ、あの、本当に私で良いんですか? 今度の論文が一番ボリュームが大きいのに納期はさらに短くなったが、連休をはさむので、まぁ何とかなるだろうとお引き受け。かくしてクリスマスに修羅場を迎える。連休直前に、さらにさらに追加でフル論文のご依頼。まーじーですか? そちらについては納期は年明け。初めて年越し案件をいただいてしまった(=去年の年末年始はおうち仕事は無かったので)。どれも同じ分野のものなので作業効率は良いのだけれど、こんなに1度にたくさんフル論文のご依頼をいただいたことが無いので、ちょっとどきどき(定期案件は別として)。すでに納品した翻訳を読んだエンドクライアントさんが翻訳の質を見たあとに、「残りの依頼はキャンセル」と言ってきたらどうしよう!と思いつつ…。個人的には、やっぱり治験文書よりも論文のほうがやっていて楽しい。これを機に、来年は論文のお仕事が少しずつ増えるといいなぁ。

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2007年12月25日 (火)

横たわる

昨日から体調不良。シュラバは順調にシュラバ度を深め(笑)、仕事は一向に進まず退っ引きならない状態なのに、パソコンの前に向かうと気分がのらないだけではなく気持ちが悪い(パソコンのせいではなく、おそらく姿勢のせいなのだ)。

体調も思わしくないが、気分的にも非常にウツウツすさんだ気持ちになっている。まぁクリスマスだからなぁ。GWや夏休みやクリスマスなど、世の中が華やかで盛り上がっているときにはウツ病の人は盛大に症状が悪化して自殺率も一気に上がるものらしいが、何となく気持ちは判る。私は自分を責めるほど繊細ではないので(世の中のイヤなこと悪いことは、私のせいではなく他人のせいだと思っているし、他人のせいなのは神様がそうしたのだから、つまり神様のせいなのだ! 神様に責任転嫁するクリスチャンは私くらいではなかろうか?)、だから自分を責めてウツ病になることは有り得ないし、他のどんな病気に罹ってもウツ病にだけはならない自信がある。でも、世の中が盛り上がっているときにウツ病が悪化するというのは何となく判るんだよなぁ。

パソコンを放ったらかして少し体を横にすると随分とラクになる。じゃあ横たわったまま、寝転がって仕事できないものかしらん?と思い、可能な限りめいっぱい各種コードを延長してパソコンを移動。これでサクサク仕事が進めば大ラッキー…と思ったが、5分で断念。何もかも位置が悪すぎる!(当たり前だ、笑)。仕方なく、すべて元の位置に戻して、再びダラダラと作業開始。はぁぁぁ、やっぱり気持ちわる。。。

横になるというのは、単に睡眠を取る以上に大事なことなんだなぁ。先日の不眠不臥をやってのけた人は本当にすごいなぁ。ああ横たわりたい、薬の副作用も手伝って眠いのである。けど横たわったら100%、いや300%寝てしまうよなぁ。寝たら100%(いや1000%)仕事が終わらない。寝ている間に小人さんがやってきて仕事を片付けてくれるわけもないし。この3連休、ダラダラと仕事をし、合い間にダラダラと寝て、どうにもメリハリのない過ごし方をしながらシュラバ度を高めてしまった。終わったら思い切り寝られるのを楽しみに、何とかラストスパートしなければ。

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2007年12月23日 (日)

憧れの人

会社で某記念パーティがあった。本社からオエライさんが大勢やってきて、昼間に社員向けにランチパーティ、その後は場所を変えて外部・プレス向けのパーティとのこと。私はいつものようにお留守番モードで、社員さんたちがみんな出掛けたあとは留守番部隊として会社に残っているものだと思い込んでいた。すると…「何やってんの、もうすぐ始まっちゃうよ」と部長に声を掛けられた。へっ、私(や他の派遣スタッフさんたち)は留守番ですよね? 「全員出席だよ、全員!」…なんだ、お留守番のほうが嬉しいんだけどな。

仕方なくランチパーティに出向く。前方に外国人がたくさん。司会進行による役員紹介のあと、本社の社長氏のスピーチが始まった。同時に司会進行役の人は引っ込み、別の人がスッとマイクの前へ。通訳さんかな? ところが社長さん、一向にスピーチを切らない。ずっとしゃべり続けている。まぁ一応は外資系だし、みんな英語は判ることになっているし、別に通訳は要らないのかもしれないけど、それじゃマイクの場所に居る人は誰なんだろう? 4~5分経って、ようやく社長氏が言葉を区切り、「誰か通訳してくれないの?」と言った(もちろん、そこで笑いが生まれたが)。「あ、私です」とマイクのところに居た人がようやく発言。「おお、それじゃ通訳頼むよ」と社長氏が言ったのはいいけれど、でもすでに5分くらいスピーチしちゃってるのに大丈夫なのかな?

そんな心配はまったくの杞憂だった。通訳さんの訳し始めた日本語のなめらかさに度肝を抜いた。5分間もの長さのスピーチなのに、冒頭からカンペキに日本語で再現されていた! すごい! こんな人がウチの会社に居たの!? それとも専門の通訳さんを頼んだんだろうか。誰だろう、誰だろう、誰だろう。ぜひぜひお話を伺いたい。

社長氏のスピーチは15分くらいだったかと思う。その後も数人の役員さんたちのスピーチがあり、さらに立食ランチパーティの合い間は当然ながら通訳さんは役員達の横でウィスパリングをしている。話し掛けたいけれどチャンスがない。と思っていたら、幸いなことにランチの途中で役員達は総引き上げ(=会議室にこもって会議だという)。ゾロゾロと役員がいなくなったあと、通訳さんは帰り支度を始めた。ということはウチの社員ではないようだ。今しかチャンスはないと思って通訳さんのところに飛んでいった。素晴らしい通訳で感激しました、と声を掛けて、どこの通訳会社からなのか伺おうとしたら、フリーランス(エージェント経由ではない)という。言いながら名刺を差し出してくださったのだが、受け取る前に、チラリと名前が見えた時点で思わず「あっ、○○市にお住まいの△△△△さん!」とフルネームで叫んでしまった。当然ながら先方も名刺をご自分の手に持ったまま「えっ!?」とビックリ(笑)。

今まで勤めた製薬会社で何度も依頼したことがあるのだ。個人で通訳をやっていらっしゃる医学専門の通訳者さん。どこの会社でも、とても上手だという評判だったので、すっかりお名前を覚えてしまった。個人通訳者なので依頼するときにはご自宅に電話を掛けていた。だから○○市という所在地まで覚えていた。でも外部での大きな会議の通訳をお願いすることが殆どだったので、私は直に通訳を聞いたことがなかったのだ(=それこそ私はお留守番部隊だったので)。そうか、この方が、あの、有名な(=私の中でという意味だが)、憧れの通訳者さんだったのか! でも先ほどのものすごく上手な通訳を思い出しながら、この方だったら判る、そうじゃないかなぁとも思っていた、こんなに上手に訳せる方もそんなにたくさんは居ないだろうと思う、やっぱり上手な人はどこでも上手なのだ、そしてどの会社からもお呼びが掛かるのだ、、、と心の中でいろんなことを思いながら、やっとお目に掛かれて感激してしまった。

いきなり住所とフルネームを言われてビックリしている通訳さんに(=そりゃあビックリするだろう、笑)、私はずっと派遣で複数の製薬会社で働いてきたこと、××年頃に◇◇社にいた頃に秘書をやっていて通訳の依頼をしたことがあること、その後も□□社にいたときにも通訳の依頼をしたことがあって、お名前を覚えていたことなどをお話した。すると、「そういえば□□社の○○さん(←私の名前)という秘書さんのことは覚えております」とおっしゃるものだから、ウソだ~!と思った。通訳をする人は皆さんリテンションが素晴らしいけれど、いくらなんでもコレは営業トークだろう。何年も前の、電話で何回か話したことがあるだけで直にお会いしたことも無い秘書のことなど覚えているハズがない(=私だったら絶対に覚えていない…人の顔と名前を覚えるのが非常に苦手なのだ…)。でも営業トークでもそう言っていただけて何だか嬉しかった。

通訳と翻訳では当然だが仕事内容はまったく違う。でも同じ医学分野で語学の専門家として仕事をしている憧れの人である。私自身がまだまったく翻訳の仕事をする前から、この分野の通訳ならこの人に、といくつもの製薬会社で名前を知られていた方だ。お会いできて良かった、お目に掛かれてお話が出来て、しかも覚えているとまで言っていただけて(ウソだとは思うけれど)、気が乗らないランチパーティだったけれど出席して本当に良かった。その日の夜のプレスパーティでも通訳をするとおっしゃっていたのだけれど、そちらは本当に私はお留守番部隊だったので(=基本的に社員は出席しないパーティだったので)華麗な通訳をもう1度拝見することはできなかった。でもまたどこかでお目に掛かれるだろうと思う。昔憧れた人が今も憧れのまま前を歩いてくださっているというのはとても幸せなこと。なにやら私は妙に幸せな気持ちになってしまった。

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2007年12月19日 (水)

全部読む

某エージェントさんからトライアル案件をいただいた。論文のアブストラクト部分である。この分野の仕事をしている人間であれば、論文のアブストラクトは翻訳者として仕事をする以前から当然のようにそれなりの数を読んだり訳しているだろうし、この分野の勉強としてはもっとも基本的な教材になるものだ。つまり、誰が訳してもそれなりに上手に訳せるに決まっている。というよりも、上手に訳せることを当然のように要求される。アブストラクトで実力を試される(トライアルが課せられる)というのは、だから、結構コワイことでもある。自分で読むだけならサクサク読めるし、それなりの翻訳も出来るけれど、これで実力判定されると思うと、ちょっとコワイ。コンペ案件だったのかどうかは訊かなかったけれど、とにかくこれでOKが出れば、論文の残りの本文部分の依頼が来るのだろうし、ダメなら本文のほうは受注しそびれることになるというわけだ。

論文の定期案件のお仕事をくださっている別のエージェントさんのほうは、アブストラクトだけのときもあるし論文をフルにまるごとというときもある。いずれにせよ、エンドクライアントさんの社内使用ということが判っているし、分野もほぼ固まっているので、私自身の慣れも手伝ってサササと訳すことも多い。でも今回はトライアル案件と言われてにわかに緊張。アブストラクトなので量も少ないため翌日納期だったが、極力ていねいに文章を考えながら訳した。

訳しながら、アブストラクトなんだから誰が訳しても同じハズだよなぁ、と心の中で思う。必要な情報が凝縮されているのだ、どれも落としてはいけない。言葉選びの余裕もないし、翻訳者の個性とか訳語の工夫なんてものも必要ない。それこそ機械的に逐語訳のように言語を置き換えていく作業に近い。こんなんでトライアルになるのかなぁ、と思いながら作業をしていたら、凝縮しているからこそ、ちょっと判りづらい表現が出てきた。その部分を何度か読み返したが、どうもハッキリしない。そこで後ろに控えている本文を読んでみた。当たり前だけれど凝縮されていない、コトこまかに説明していある部分を読んでスッキリ解決。それを踏まえたうえで、アブストラクトの翻訳には若干の言葉を補って訳した。そうしないとどうも伝わらないと思えたのだ。

翌朝トライアル案件を納品し、その日の夕方にトライアル合格のお知らせとフル論文の発注依頼をいただいた。ホっとした。アブストラクトなんて誰が訳しても同じだと思っているし(=誰でも一定レベルで訳せると思っているし)、要はトライアルのチャンスをいただけるかどうかの違いだけで、訳者が誰であっても質はそんなに変わらないと思っている。でも読み手に判りやすく訳すためには情報を補う必要もあって、そのためには依頼箇所だけではなく全部読まなきゃいけないんだよなぁ。ベテランさんは訳す前にきっと論文を全部ちゃんと読むんだろう。私にはまだそこまで余裕がなくて、とにかく依頼箇所に目を走らせるだけで精一杯だ。でも全部読まずに訳していたら今回のトライアルは落ちていたと思う。大事なことだと判ってはいるのだけれど、欠かさず実践する余裕はない。

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2007年12月11日 (火)

信頼関係

しばらく更新をサボっておりました。誰も読んでいないから、まぁ良いかと思いつつ。その間に無事にコタツを発掘し、さっそく根が生えてコタツから出られない生活。コタツ作業をしていると、いっそう姿勢が悪くなるのだけれど、アパートに掘りごたつを作る余裕もないので(高床式の畳セットを組めばアパートに穴を掘らなくても掘りごたつにはなるけれど…コタツ使用時以外にはジャマだし部屋が狭くなるので踏み切れない)、春まで腰痛との闘いかも。他には、以前お世話になった英語学校の同窓会があったり。特にシュラバっていたというわけでもなく、淡々と冬ごもりしております。

年末恒例なのだが、お手伝いしているボランティア翻訳サイトから、この1年間の年間翻訳担当リストの提出を頼まれた。締め切りギリギリでようやく提出。改めて自分が担当した翻訳タイトルを並べてみると…す、す、すくない…こんなに少なくて申し訳ないくらい少ない。

以前にも書いたが、そのサイトの開設まもないころに私はボランティアスタッフに応募した。いわば古株ということになる。とにかく人手が欲しいというときに、まんまと登録してもぐりこんでしまったとも言える(笑)。今はアタマ数が足りてきたために、登録時には翻訳トライアルもあるし、英語や医療関係の保有資格も以前より高いレベルで求められている。私なんか無試験で登録しちゃったもんね。当然ながら、ボランティアと言えどもヤル気の高い人、つまり一定量の貢献をしてくれる人が求められる。年間担当の本数を確認するのもそういう理由があるのだ。で、私は自分でものけぞるほど少ないのだ。去年も少なかった…今年は去年よりも、さらに少ない…。あわわー。

でもまぁそこは古株。担当本数が少ないくせに大きな顔をしている(=いや、担当本数は恥ずかしくて言えませんが)。サイトの管理人さんにリストを送付した後、お礼のメールをいただいた。今年も多大な貢献をしていただいてありがとうございました、と書いてあって、なにやら申し訳ないくらいだが。実のところ、年間担当本数とは関係ないところで、確かに管理人さんとは密接にやりとりがある。これも以前に書いたが、夜10時を廻ってから急遽頼まれた「翌朝締め切り」の校正を朝まで一緒に(互いにパソコンの向こうにいる、という意味だが)仕上げたり、新規ボランティア登録者用のトライアル案件をアレコレ相談しながら考えたり、サイトとの契約書(機密保持関連)のひな形を作ったり、いわゆる翻訳会社の料金体系はどうなっているのか相談されて知っている限りアレコレお答えしたり。来年もぜひサイトのアドバイザーとしてよろしくお願いします、と添えてあったが(笑、つまり翻訳者としては稼働率が低すぎて役に立っていないのかも)、別に私だけではなく、登録スタッフはみんな、翻訳以外でもいろいろなサポートをしているだろうと思う。ウェブサイト構築で協力しているスタッフさん、メルマガ発行のお手伝いをしているスタッフさん、私のように特に表には出ていないけれど、おそらく医学知識の部分で協力している方々(比較的新しいスタッフさんたちは、研究所勤めなど専門知識が豊富な方々が多いのだ)など、みんなそれぞれ有形無形で協力している。ボランティアサイトというのは本当に一人の力で出来るものではない。金銭的対価はないけれど、管理人さんや他のスタッフさんたちと信頼関係を築いて、自分もサイトを作り上げているメンバーの一人なのだという気持ちもある(=翻訳自体はロクに手伝っていないが…)。管理人さんも、杓子定規に「年間本数が少なすぎて規定に反するからアナタは登録スタッフ抹消!」などと言わずに居てくれることもありがたい(苦笑)。来年は…もう少し担当しよう…。

今年は私が登録している翻訳エージェントさんにも実際に足を運んで、担当の営業さんや翻訳コーディネーターさんと直にお目にかかる機会もあった。お互いに相手の顔が判るというのは信頼の第一歩なのかな。私は出不精で人と会うのもあまり得意ではないので、基本的にはメールだけで充分だと思っているのだけれど、一度はお目にかかっておくのも悪くない。それを言うなら、ボランティア翻訳サイトの方々と一度お目にかかりたいのだけれど、管理人さんを始めとする主要メンバーが関西ベースなのでちょっと難しいなぁ。

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