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2007年9月30日 (日)

苦手意識

先日お引き受けした案件が非常に難しい…。原稿を前に沈黙、というか沈没寸前。一読して、ああ難しい、と思うし、読めば読むほど難しい。キライな分野ではないのだけれど、どうもこう、苦手意識を持ってしまう分野というか。出来ることならこういうものをスラスラ理解できるようになりたいと思うのだけれど、そこには大きく立ちはだかる壁があるなぁ。

これまで、なぜ医療の分野に興味を持ったのか、と訊かれたことが何度かある(=たいていは、仕事の面接のときに訊かれる。医療系のバックグラウンドのない私が、ずっとこの業界にいるというのが不思議に思われるのだろう)。私は英語が好きなので英語を使った仕事をしたいという気持ちは中学生の頃からあったけれど、じゃあ英語を使って一体何をしたいのか、というところまでは自分の中でハッキリ固まっていなかった。語学を教える仕事以外は「語学」を主役に仕事をすることは無い(=そして私は教師になりたいと思ったことは無い。数人程度なら相手に出来るけれど、30人とか50人もの生徒を持つなんて性格的にどう考えても不可能)。ビジネスの世界においては、語学は所詮は何かをするためのツールであって、その「何か」が見つからないことには、何をすれば良いのか判らない。それを探すために派遣ジプシーをしながらいろいろな業界を見て回って、一番興味を持ったのが医療の分野だった。それも、即座に生命に直結するもの、つまり心臓か脳の分野に一番興味を持った。今でもこの2つの分野には非常に興味を持っている。自分自身にも、家族や友人にも、誰にでも、必ず関わってくるものだから。そして、今は関係なくても、明日の自分に関わるかもしれないものだから。

心臓と脳は、どちらも何かあったら即死するような場所なのに、治療法やメカニズムの解明という点では180度違うと言って良いくらい事情が異なる。心臓は物理的にはただのポンプと言われているように、機能的には単純で、ペースメーカーという代替心臓もある。仕組みは解明されているといって良い。ところが脳は。何がなにやら。未知数てんこもり。まだまだ判らないことが多すぎ。世界中で医師や研究者が日々研究を進めている分野なのに、ロクに算数も判らない私に何が判るというのか。出てくる用語も判らない、その意味も理解できない、だから脳分野には手を出すのはやめよう、とずっと思っていた。もちろん興味はあるけれど。

循環器用の大型医療機器の会社に就職したこともあって、心血管系領域はかなり好きな分野だし、馴染みもあるのだけれど、脳領域は怖くて手が出せない。ガンマナイフにも非常に興味はあるけれど、脳神経分野では放射線用語も特殊だし、同じ単語でも一般の医学用語とは違う意味を持つ言葉が多くて、ボランティアで脳腫瘍の翻訳をしたときにもヘロヘロになった。放射線科の監修の先生(=こちらもボランティア)にかなりアレコレ手直ししていただいて、あ~やっぱり難しい、とつくづく思ったものだ。自分の守備範囲を広げるためにも、やってみたいとは思うけれど、どうしても苦手意識がある。そう思っているうちは手を出さないほうが賢明。ヘタに手を出して、誤訳した挙句に患者さんに何かあったら一大事どころではない。

それなのに脳分野のお仕事をいただいてしまった。エンドクライアントさんからのトライアルに受かってしまったのだ。1ページくらいの分量なら調べながら何とか訳せたけれど、ドカっと大量に来ると…解剖学図をみても判らないような部位、放射線用語集に書かれている読めない漢字(泣)、大丈夫かなぁ…。出来るようになりたい!とは思っているけれど、ずっと苦手意識があった分野なので、ちょっと不安。というか、かなり不安。でもお引き受けした以上、苦手だの何のと言っていられない。キライではないし、やりたい気持ちはある。「やっつけ突貫工事」では太刀打ちできないので、時間の許す限り丁寧に読んで調べて頑張ろうと思う。この先、脳分野の仕事を「得意です」と言える日が来る…とは到底思えないが、でも、苦手だと思わずに取り組めるようになりたい。

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