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2007年8月23日 (木)

全然違う

このところアウトプット量が増えたにも関わらず、それに見合うインプットをずっとサボりっぱなしである。ただでさえ心もとない中身がいっそうスカスカになり、そのうちポキっと折れるんじゃないか、このあたりで「ちゃんと」効率的に集中的にインプットするべきだと思い、久しぶりに「自分のオベンキョ」のためにスクール通いを検討中。ここ数年なぜかやたらとメディカルライティングや治験関係の翻訳クラスが花盛りになっている。以前はそういうクラスはほとんどなかった。私は幸いにも現場でナマの治験文書を毎日のように目にしているが、体系的にきちんと理解しているかと言われるとかなり怪しい。このへんで今まで自分が経験してきたことの復習も兼ねて、プロの手を借りて学びなおしておく段階に来たように思う。現場を何も知らなかったときにポンと授業だけ取っても、おそらく私には咀嚼しきれないと思うけれど、今ならきちんと吸収できるだろうし、次のステップに進む土台を固めるタイミングのような気がする。

以前に某翻訳エージェントさん主催で行われたメディカルライティングセミナーに出席したとき講師を務めてくださった方が、メディカルライティングをきちんと(素人に)教えられるところは非常に少ない、とおっしゃっていた。確かに、昨年行われたクリニカルバイオインフォマティクス+日本メディカルライター協会の主催で行われたセミナーなど、探せばいろいろある(=今年も同じ内容で行われるそうだ)けれど、こういったセミナーは主に医師向けで、自分で論文を書く人を対象にしている。素人が受講しても今ひとつなのだ。視点が違うので当たり前だが。そんな中で、某エージェントさん主催のセミナー講師のかたが言うには、医学翻訳に携わる人向けのメディカルライティングを教えてくれる学校としては○○があります、とおっしゃっていたので、うぉーそれは要チェック、と思っていたのだ。

そんなわけで、そのスクールの授業を見学。見学の予約申し込みの時点で、授業見学は1時間くらいだと言われたのだけれど、せっかく行くのに授業の途中で退出するなんてもったいない。最後まで見学させてください、と教務スタッフに懇願(というより、正確に言うとしつこく食い下がった)。こういうときの私は非常に貪欲なのだ。当日スクールに行ったら、私のほかにも授業見学の方が1名いらっしゃった。2人で恐る恐る(笑)授業を見学。その方は教務スタッフに言われたとおりに授業開始後1時間で帰り支度を始めて離席しようとなさり、ちょうど授業のキリも良かったので、先生がそこで10分ほど休憩時間にするとおっしゃった。私も教室を出て教務スタッフと少しお話。もう1人の見学者さんも別の教務スタッフにいろいろ質問しながら熱心に話をしていた。

その見学者さんは教務スタッフさんに、治験文書の翻訳とメディカルライティングというのはどう違うのですか?と質問していた。そりゃ全然違うよ!と答えたかったのだが、私がでしゃばることでもないと思い、教務スタッフさんが答えるだろうから任せておけば良いと思ったのだが、次に聞こえてきたのは、「違うと思うのですがよく判りません」というスタッフさんの回答…おいおい。教えているスクール側がそれで良いんですかね。思わず振り返って、「全然違いますよっ!」と言ってしまった。ああ、余計なお世話の私。翻訳は単に同じ内容で別の言語に置き換えるだけで、同じ内容が伝われば良いのであって、料金体系も1枚いくら、1ページいくらだが、メディカルライティングは、極端な話、データをもとに自分で文章をゼロから作り上げていく仕事であり(=とは言っても現実には大体は土台になるソース言語の申請資料があり、それを元に必要な部分を抜き出したり文章を拝借して適宜翻訳をしながら、足りないと思われる内容があればその文章だけを新しく加味していくことが多いので、本当にゼロから書くわけではない)、翻訳とはまったく違う、料金も1本いくらというまとまったものになり、場合によっては翻訳の10倍くらいになる、とついつい力説してしまった(=先日のセミナーで聞いた「翻訳業界カースト制度」のことをチラリと思い出した…あのピラミッドの頂点がメディカルライターなのだ)。教務スタッフさんは私の勢いにちょっとビックリしていたようだが(=ああすみません、でしゃばって)、その見学者さんは私が言い終わった後、メディカルライティングをやっていらっしゃるんですか?と訊いて来た。ぶんぶんっ!と大きく首を振る私(笑)。そんな高度なスキルがあったらスクール通いなんて考えません。

休憩時間終了後、残りの授業も最後まで見学させていただいた。はからずも、授業の終盤に講師が「翻訳は一言一句、元の文章に書いてあることを拾って訳して同じ内容を別の言語で書く作業だが、メディカルライティングは、原稿に書いてある情報を元に、まったく別の文章を書き上げていく作業で、最終目的は(医薬品の)承認である。だから承認を目指す文章を書いて欲しい。皆さんにはそういうメディカルライティングが出来るようになって欲しい」とおっしゃっていた。まったくだ、翻訳とは全然違う、翻訳よりもさらに一歩踏み込んだ作業だ。そしてこの授業が、翻訳のクラスではなくメディカルライティングのクラスだということも実感した。メディカルライターになりたいかと訊かれたら、正直なところ、そこまで考えていない。もともとお役所文書はそんなに好きではなく、私は論文メインの翻訳者を目指しているというのもあるし、治験文書にどっぷり浸かることも考えていなかった。でも現実におうち仕事で依頼が多いのも、毎日会社でやっているのも、治験文書なのだ。メディカルライティングを学んでおくことは非常に大きい。

日本メディカルライター協会
http://www.jmca-npo.org/

メディカルライティング基礎講座(医師向け)
http://www.jmca-npo.org/seminar/20070904.html

メディカルライティング・コラボ協会
http://www11.plala.or.jp/jamwc/

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