« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »

2007年8月30日 (木)

金銭感覚

医学雑誌や医学書というのは他の種類の図書に比べて発行部数が少ないからなのか、とにかく何でも高額である。装丁もムダに豪華できれいなものが多い気がする(=これは私の偏見かも知れないが…)。医学英検の試験問題だってやたらと上質の用紙だった。こんなところで高級感を出さなくても良いのにと思ってしまうのだが、とにかく医学関係の図書類は高い。個人で医学雑誌の定期購読などをしようと思ったら清水の舞台モノだ。実際、医学雑誌の定期購読は大半が病院や医療関係企業などが相手なのだと思う。購入する側も金額なんて大して気にしないのだろう。

先日、社内の図書案内メールで、ある翻訳辞典の紹介があった。製薬企業で翻訳に携わっている方が著したものだという。ちょうどその頃に同業の先輩翻訳者さんからメールをいただいたのだが、これまた、その本が話題であった。同業の大先輩のブログでも紹介されていたので、ちょっと興味を持ち、久しぶりに大型書店に立ち寄り、手にとって実物を見てみた。ふーむ。とりたてて騒ぎ立てるほどのものでもないかなぁ。視点としては悪くないと思うのだけれど、製薬企業発という利点が活かしきれていない気がする。この仕事をしていて翻訳作業の上で誰でもつまづくような(調べてもなかなか見つからないような)訳語が触れられておらず、一般の英語の参考書や辞書に載っているようなことが延々と書かれていたり。いただいた先輩翻訳者さんからのメールによると、少々期待はずれの内容だったとのこと。ふむ、同感である。

と思っていたら、数日後にまた社内の図書案内メールが入ってきた。くだんの翻訳辞典を経費で購入したので図書室に格納しました、とのこと。はははは…。結局、質の良し悪しではなく、値段の高低でもなく、いったい何処に判断基準をおいているのかは判らないが、製薬会社というのはポンと購入してしまうところが多い気がする。先日も、上司が「メディカルライティングのノウハウ」という本を購入していたが(9万円近い。これまたムダに装丁が豪華なのである)、そのまま手付かずで本棚に飾ってある…。製薬企業の中に眠っている参考資料とういのはいったいどれくらいあるのかなぁと思う。高くてもお構いナシに購入するから、出版する側も値段を気にせずに出している気がするし、中身だって吟味しないのではなかろうか。メディカルライティングの本がもし9000円だったら、私も自費で購入して使いまくるかもしれないが、9万円では眺めるだけである。

そういえば以前に私が秘書をしていたときの上司も、数十種類の医学雑誌を定期購読していた。上司宛てに届く郵便物を仕分けるときに、医学雑誌やダイレクトメール(医学書や学会案内)が山のように届いていたっけ。そして上司は、そういう医学雑誌を目次だけサッと眺め、必要なページに付箋をつけて私に戻し、その数ページを私がコピーして上司に戻すと、雑誌本体はもう不要だったのである(=上司はコピーを持ち歩いて時間が有るときに目を通すという具合だった)。特に必要な記事がなければ、そのままゴミ箱に放り投げられていることもしょっちゅうあった。年間十数万円なのに…と思ったものだ(=ああ私って貧乏性)。どうもこういう感覚には慣れないなぁ。私の金銭感覚は製薬企業向きじゃなさそうである。

http://www.gijutu.co.jp/doc/b_1381.htm

| | コメント (2)

2007年8月26日 (日)

同時進行

会社勤めをしながら並行して自宅での仕事をしている人にとっては誰でも当たり前のことなのだけれど、まったく別の2つの仕事が同時進行するわけで、そのあたりの切り替えなりエネルギー配分を考えて取り組まなければならない。私のように、フリーランスを目指して会社仕事とおうち仕事の「二足の草鞋生活」を送っている人はみんなそうだろうと思う。このところ、両者がダブってきて、私の脳ミソはワヤクチャ状態。

会社仕事のほうは、以前は参考文献の論文を訳したり、機構相談の中身を訳したりしていたのだが、今は新規プロジェクトということで治験実施計画書だったり、その叩き台としての素案を訳したりで、かなりドップリ治験文書の世界である。そして、おうち仕事のほうは、定期案件は医学論文なのでこれは良いのだが、最近ほかのエージェントさんからまとまった量の治験案件をいただくようになってきて、これがモロに治験実施計画書だったり治験薬概要書だったりする。この上に、翻訳学校に通い始めたら…宿題の中身が治験文書なのだから…こんがらがるに決まっている。

もちろん扱う薬の中身も違うし、作業ファイルはきっちりと分けているし、こんがらがると言っても自分の気持ちの問題だけだ。でも、治験文書はまとまった量があるために納期も比較的長く、その期間をずっと同時進行で2本あるいは3本を訳すとなると…気持ちというか脳ミソの切り替えがスムーズにいかない…。今までの二足の草鞋生活の中では経験したことの無い状態なのでちょっと戸惑い中である。でもこれは、フリーランス1本でも充分にありえることだ。複数のエージェントさんから治験関係の依頼が入るというのは、ありえるどころか不思議でもなんでもないと思う。まぁよほど売れっ子でもなければ、数百ページ単位の治験案件を1つ抱えていたら、同時進行で別の案件を引き受けること自体が無謀なのかもしれないが。私の場合は、1つが会社仕事だからこういうことになるだけであって、この分量を「おうち仕事」として引き受ける力量はまだ無いし、私に依頼してくるエージェントさんも無いだろうな。

とにかく当面はこの状態が続きそう。先日、「会社仕事」で外注でお願いした治験文書も来週あたり仕上がって戻ってくる。そうしたらそのチェック作業も加わるので、同時進行案件がまた増える。うーむ、脳ミソがうまく切り替わるだろうか。それよりも「おうち仕事」のほうを進めなければなぁ…。切り替わらなくて進まないのである。。。

| | コメント (0)

2007年8月23日 (木)

全然違う

このところアウトプット量が増えたにも関わらず、それに見合うインプットをずっとサボりっぱなしである。ただでさえ心もとない中身がいっそうスカスカになり、そのうちポキっと折れるんじゃないか、このあたりで「ちゃんと」効率的に集中的にインプットするべきだと思い、久しぶりに「自分のオベンキョ」のためにスクール通いを検討中。ここ数年なぜかやたらとメディカルライティングや治験関係の翻訳クラスが花盛りになっている。以前はそういうクラスはほとんどなかった。私は幸いにも現場でナマの治験文書を毎日のように目にしているが、体系的にきちんと理解しているかと言われるとかなり怪しい。このへんで今まで自分が経験してきたことの復習も兼ねて、プロの手を借りて学びなおしておく段階に来たように思う。現場を何も知らなかったときにポンと授業だけ取っても、おそらく私には咀嚼しきれないと思うけれど、今ならきちんと吸収できるだろうし、次のステップに進む土台を固めるタイミングのような気がする。

以前に某翻訳エージェントさん主催で行われたメディカルライティングセミナーに出席したとき講師を務めてくださった方が、メディカルライティングをきちんと(素人に)教えられるところは非常に少ない、とおっしゃっていた。確かに、昨年行われたクリニカルバイオインフォマティクス+日本メディカルライター協会の主催で行われたセミナーなど、探せばいろいろある(=今年も同じ内容で行われるそうだ)けれど、こういったセミナーは主に医師向けで、自分で論文を書く人を対象にしている。素人が受講しても今ひとつなのだ。視点が違うので当たり前だが。そんな中で、某エージェントさん主催のセミナー講師のかたが言うには、医学翻訳に携わる人向けのメディカルライティングを教えてくれる学校としては○○があります、とおっしゃっていたので、うぉーそれは要チェック、と思っていたのだ。

そんなわけで、そのスクールの授業を見学。見学の予約申し込みの時点で、授業見学は1時間くらいだと言われたのだけれど、せっかく行くのに授業の途中で退出するなんてもったいない。最後まで見学させてください、と教務スタッフに懇願(というより、正確に言うとしつこく食い下がった)。こういうときの私は非常に貪欲なのだ。当日スクールに行ったら、私のほかにも授業見学の方が1名いらっしゃった。2人で恐る恐る(笑)授業を見学。その方は教務スタッフに言われたとおりに授業開始後1時間で帰り支度を始めて離席しようとなさり、ちょうど授業のキリも良かったので、先生がそこで10分ほど休憩時間にするとおっしゃった。私も教室を出て教務スタッフと少しお話。もう1人の見学者さんも別の教務スタッフにいろいろ質問しながら熱心に話をしていた。

その見学者さんは教務スタッフさんに、治験文書の翻訳とメディカルライティングというのはどう違うのですか?と質問していた。そりゃ全然違うよ!と答えたかったのだが、私がでしゃばることでもないと思い、教務スタッフさんが答えるだろうから任せておけば良いと思ったのだが、次に聞こえてきたのは、「違うと思うのですがよく判りません」というスタッフさんの回答…おいおい。教えているスクール側がそれで良いんですかね。思わず振り返って、「全然違いますよっ!」と言ってしまった。ああ、余計なお世話の私。翻訳は単に同じ内容で別の言語に置き換えるだけで、同じ内容が伝われば良いのであって、料金体系も1枚いくら、1ページいくらだが、メディカルライティングは、極端な話、データをもとに自分で文章をゼロから作り上げていく仕事であり(=とは言っても現実には大体は土台になるソース言語の申請資料があり、それを元に必要な部分を抜き出したり文章を拝借して適宜翻訳をしながら、足りないと思われる内容があればその文章だけを新しく加味していくことが多いので、本当にゼロから書くわけではない)、翻訳とはまったく違う、料金も1本いくらというまとまったものになり、場合によっては翻訳の10倍くらいになる、とついつい力説してしまった(=先日のセミナーで聞いた「翻訳業界カースト制度」のことをチラリと思い出した…あのピラミッドの頂点がメディカルライターなのだ)。教務スタッフさんは私の勢いにちょっとビックリしていたようだが(=ああすみません、でしゃばって)、その見学者さんは私が言い終わった後、メディカルライティングをやっていらっしゃるんですか?と訊いて来た。ぶんぶんっ!と大きく首を振る私(笑)。そんな高度なスキルがあったらスクール通いなんて考えません。

休憩時間終了後、残りの授業も最後まで見学させていただいた。はからずも、授業の終盤に講師が「翻訳は一言一句、元の文章に書いてあることを拾って訳して同じ内容を別の言語で書く作業だが、メディカルライティングは、原稿に書いてある情報を元に、まったく別の文章を書き上げていく作業で、最終目的は(医薬品の)承認である。だから承認を目指す文章を書いて欲しい。皆さんにはそういうメディカルライティングが出来るようになって欲しい」とおっしゃっていた。まったくだ、翻訳とは全然違う、翻訳よりもさらに一歩踏み込んだ作業だ。そしてこの授業が、翻訳のクラスではなくメディカルライティングのクラスだということも実感した。メディカルライターになりたいかと訊かれたら、正直なところ、そこまで考えていない。もともとお役所文書はそんなに好きではなく、私は論文メインの翻訳者を目指しているというのもあるし、治験文書にどっぷり浸かることも考えていなかった。でも現実におうち仕事で依頼が多いのも、毎日会社でやっているのも、治験文書なのだ。メディカルライティングを学んでおくことは非常に大きい。

日本メディカルライター協会
http://www.jmca-npo.org/

メディカルライティング基礎講座(医師向け)
http://www.jmca-npo.org/seminar/20070904.html

メディカルライティング・コラボ協会
http://www11.plala.or.jp/jamwc/

| | コメント (0)

2007年8月17日 (金)

キャリア

某神社が一年で一番あわただしく騒がしく緊張感が走り、天ちゃんや政治家や取材陣を始めとするいろんな人たちが都内某所に集まる8月某日、そう言えば黒塗りの街頭宣伝車がやけに多くてウルサイなぁ、と思う程度で、私はいつものようにフツーに出社し、いつものようにフツーに仕事をしていた。外資系の会社にはお盆休みというものはない。各個人が勝手にスケジュール申告をして夏休みを取るが、私は早々に8月上旬に休みを取ってしまった。お盆期間中は電車も空いているし仕事のスケジュールもノンビリしているし、基本的には私はいつもお盆期間中は出社するようにしている。

この日は、隣のチームでプロジェクト付き翻訳をしている派遣さんの出社最終日だった。当初は契約は今月いっぱいと聞いていたので、2週間も前倒しで最終日にしたと知って少し驚いた。でも、お隣のプロジェクトのほうも厚労省への提出も終わっているし、残りの「後片付け」的な作業は別に専属の翻訳スタッフがいなくても社員さんで片がつく。中途半端に契約期間を延ばすより、仕事があらかた終了したのであれば、さっさと退職したいという気持ちがあったんだろう。

私は今は新規のプロジェクトに入ったが、基本的にはこの業界で派遣で社内翻訳をする場合に多いのは、ルーティンでの副作用報告を担当するか、あるいは「プロジェクト付き」の専属翻訳スタッフになるかのいずれかのパターンだと思う。プロジェクト付きは、新薬の承認手続きの終盤、現場(=製薬会社)は申請関係の書類の山、翻訳するべき文書の山、締め切り(=厚労省への提出スケジュール)との時間との格闘、という状況で、慌てて人を探してプロジェクト専属の翻訳スタッフを迎える、というのが一般的だ。私もプロジェクト付きを何度かやっているし、それなりに結構楽しい。大抵は承認日が決まって、そこに向けてカウントダウン的な状況での採用となるので、通常は契約期間は半年とか一年とかオシリが決まっていることが多い。私も前回のプロジェクトが終了した時点で(=新薬の承認が取れた時点で)契約は終了するものだとばかり思っていたし、終わったら少し仕事をお休みしてノンビリ過ごそうかなどとも思っていたが、今回はたまたま新規プロジェクトに頭から入るという初めての経験をさせていただけることになって、ありがたくオファーを受けたのだけれど。通常は、医学的なバックグラウンドもない人間を、プロジェクトの頭からチームに入れてくれるなんて滅多にあることではない。だから私にとっては非常にありがたいお話だったのだけれど、隣のプロジェクトで翻訳を担当していた派遣さんは、どうやら新規プロジェクトに残る気は無かったらしい(=新規なだけに、まだ一切日本語の資料がない状態で、これから山のように翻訳するべき文書が次々と出てくるため、翻訳スタッフは確保しておきたい、と上司も言っていたので、彼女もきっと残留を求められたに違いないと思うのだけれど)。プロジェクトが終わったら契約終了したいという気持ちが強かったのだろう。彼女も私同様にこれまでずっとこの業界、この分野で派遣で翻訳の仕事をしてきた人で、次に行く製薬会社ももう決まっていると言っていた。そうか、だから2週間早く切り上げることになったのか。納得。

多分、終了日を繰り上げたのも急に決まったことだったようで、送別会をアレンジする余裕も無くバタバタと最終日を迎えたという感じだった。彼女の出社最終日に部署のみんなでランチに行こうということになり、部署の社員さんがランチの手配をして下さった。お盆の真っ只中ということもあって、近所のちょっとしゃれたお店は休みのところが多く、少し遠出をして某ホテルのフレンチレストランに行くことに。その日は11時半に数人ずつタクシーに乗ってレストランへ。ランチの送別会というのは今までの会社でも結構何度もあったけれど、せいぜい会社の近所のちょっと小じゃれたお店というのが普通で、まさかホテルのレストランとは、しかもタクシーで行くとは…と少しビックリ。給料日前でもあったので、オサイフの中をちょっと確認(笑、いくら掛かるか不安だし)。いざタクシーを拾おうとしたら○×通りがやけに騒がしい。ああ今日は○×神社が年に一度の一番忙しい日だ、あっち方向に走るタクシーは動かないね、ということになり、ぐるりと回っても反対方向からホテルに向かうことに。たまたま彼女とタクシーに同乗したので、次の勤め先のことなどをチラリと聞いた。彼女はフリーランス思考はないらしく、この先も社内翻訳でやっていきたいようだ。プロジェクト付きという比較的タイトなスタイルの仕事を選び、様々な製品を経験して自分のキャリアを積んでいくというのもすごいなぁと思った。狭い業界、いつまたどこで会うか判らないね、とお互いに笑って、美味しいフレンチを堪能して(=なんと会社負担でランチをいただいてしまった!余計に美味しく感じた、笑)、午後はチームの社員さんたちと引継ぎをしたあとに、彼女は花束を抱えて帰っていった。

| | コメント (0)

2007年8月 7日 (火)

あいみつ

新規プロジェクトの翻訳は基本的に「社内翻訳者」である私が担当することになるのだが、そうは言っても大量だったり急ぎだったりする場合には物量的に私ひとりの手には負えないので、当然ながら外部の翻訳エージェントさんに外注することになる。今までも複数の製薬会社で翻訳の仕事をしていたし、外注の窓口をしたこともあるけれど、個々のプロジェクトの中に入っていたわけではないので、どういう基準でエージェントさんを選んでいるのかなど、私には見えていない部分も多かった。今はプロジェクトの中にどっぷり浸かっているので、その辺が見えて非常に面白い。

製薬会社では並行していくつもの翻訳エージェントさんを使うのが普通だ。文房具を発注するときには、会社として取引する特定の文房具屋さんが1社決まっているものだし、海外出張のときにも手配をお願いする旅行代理店が普通は1社である。ところが翻訳に関しては複数の翻訳会社をを並行して使うわけで、これは、翻訳というシロモノの品質が(依頼原稿の内容によっても変わるので)一定ではないこと、訳者さんを指名でお願いしたくてもスケジュールが合わないことも考えられること、何よりも、大量生産できるものではないし(笑)、物量的な処理量に限界があって、例えば明日までに1000ページなどとなったら複数の訳者さんに分割しなけばならないワケで、その場合の質の確保が流動的なこと、などなど、いろいろあるとは思う。

では、どの翻訳会社に依頼するのかをどんな判断基準で決めるのか。今まではあまり考えたことも意識したことも無かった。今回、どこに依頼するのかを決めるに当たって、部長(=オサイフを握っている最終判断者)や、他のプロジェクトで翻訳会社とやり取りをしている社員さんに伺ったところ、どうもプロジェクトごとにエージェントさんが違う。つまり、偶然にも「1プロジェクト=1エージェント」制になっている。これは、プロジェクトがスタートするときに複数の翻訳エージェントさんにトライアルをお願いして(=つまりコンペである)、勝ち抜いたエージェントさんには自然にプロジェクト終了まで継続してお願いする形になっているようなのだ。製薬会社の新薬プロジェクトといったら、短くても5年、普通は10年単位である。最初のコンペで、その後10年に亘る外注依頼先が決定するとは…初回コンペの責任重大だ! 今までは、私が「おうち仕事」で翻訳を請ける場合に、コンペです、と言われても、大型案件のお仕事を1つ取るかどうかのコンペなのだと思っていた。その後に何年にも亘る受注が掛かっていることなど考えたこともなかった。「おうち仕事」翻訳者としてはまだまだ認識が甘いな。

とにかく「会社仕事」のほうでは、私は翻訳会社を選ぶ側である。どこにコンペをお願いするのかは、プロジェクト担当者の好み(!)のようなので、私も複数の翻訳会社にトライアルと見積もりをお願いした。もちろん相見積もりであることはお知らせした。いただいた見積もりを見て、うわー1ページあたりこんな高い金額なのか…(=そのうち翻訳者がもらえる金額と言ったら…なんだかガックリ…)と思ったり(笑)、エージェントの営業さんからの納期交渉では、訳者さんの厳しい事情も痛いほど判るので、ついついデッドラインを延ばすことを承知したり。

そして上がってきたトライアルを見て、唸ってしまった。当然ながらどれもそれなりに上手である。各エージェントさんの工夫や意気込みが感じられる。あいみつであることをお知らせしてあるため、どこも必死なのだろうし、気合いが伝わってくる。特に1社は営業さんの対応が素晴らしく秀逸で、今までに私がやり取りをした事のある翻訳会社の中でも断トツであった。この営業さんの対応だけで、かなり心が動き、その会社にしようかと思ったくらいだ。が、トライアルの訳稿をみたら…別のエージェントさんのほうが上手だった。見積もり金額、納期、営業さんの対応など、判断に影響する要素はいろいろあるけれど、当たり前のことだが決めてはやはり翻訳の質である。部長とも相談の上、翻訳の質が一番良かったところに決めた。

どの訳文もそれなりのレベルには達しているし、みんな上手だった。あとは、ちょっとした細かい部分をどれだけ丁寧に訳しているか、訳文としてこなれているか、業界のスタンダードを熟知しているか(訳語の選び方でその辺が判ってしまう)など、小さな差が大きな印象の違いになってくる。そして、その小さな差が、今後数年間に亘るプロジェクトの外注先を決定してしまうのだ。トライアル(コンペ)を依頼された場合の翻訳者の責任は本当に重大だ。そういうコンペ案件を引き受けられるようになりたい…とひそかに思う私だった。

| | コメント (0)

2007年8月 1日 (水)

実施要綱

英検夏の陣が終われば次は秋の陣である。再挑戦しようと思いつつ日々のどさくさに紛れて(?)単語の洗い直しをする度胸も無く、ここ数年は傍観者に徹している私だが、今年の秋は私も受験生である。といっても医学英検の話だが。

秋のパイロット試験の実施要綱が発表になった。もちろん私は次は3級に挑戦する。前回まったく準備せずに4級を受験して見事に平均点という無能ぶりを発揮したわけだが、さて3級はどうなることやら。4級で平均点だったからなぁ。3級は不合格だったりして。いや冗談じゃなく。そう思うなら少しは勉強しよう…。前回は全国3ヵ所で実施されたが、秋は北海道での実施は行われず、関東と関西の2ヵ所のみになるようだ。あわせて、来春の第1回めの本試験の詳細も発表になった。そのときには3級を受験したいので、秋のパイロット試験はまさしく私にとっては模擬試験の位置付け。問題の難易度、合格ライン、平均値を把握して対策を立てることも出来ると思うので、ぜひとも受験したいと思う。

以下、発表になった実施要綱から抜粋:
*********************
第2回パイロット試験(模擬試験)の開催案内
日程:2007年11月11日(日)
会場:関東地区―東京慈恵会医科大学、近畿地区―兵庫医科大学
実施級:3級(筆記+リスニング)、4級(筆記のみ)
受験料:無料
受付開始:2007年9月10日(月)

第1回本試験の開催案内
日程:2008年4月13日(日)
会場(予定):関東地区(東京慈恵会医科大学、東京医科大学、東邦大学他)、近畿地区(兵庫医科大学他)
実施級:3級(筆記+リスニング)、4級(筆記のみ)
受験料:7,000円(予定)
受付開始:2007年10月1日(月)
*********************

しかし受験料が高い! まぁ問題用紙もえらくきれいだったし、会場もきれいだったし(本試験では当然ながら会場数が多いんだな)、医学というだけで「お高そう」なイメージがあるし、仕方ないのかも知れないけれど、4級も3級も7000円とは。この金額だったら英検1級を受けるほうが楽しそうだなぁ。英検1級は7500円だが、これで1次試験と2次試験(ただし1次試験合格者のみ)が受けられるし、1次試験ではもれなく問題用紙をお持ち帰りできるし。医学英検では、前回のパイロット試験では問題用紙を持ち帰ることは出来なかった。これはパイロット試験だからなのか、本試験でも持ち帰ることができないのかは不明だが、持ち帰れなくてこの金額だったら、やはり受験料が高額という感は否めない。TOEICやTOEFLも、為替レートの問題もあるが、問題用紙を持ち帰れないから高く感じるんだよなぁ。TOEICは過去問を使いまわしているという性格上、問題用紙を絶対に回収したいという事情もあるのだろうけれど。英検もサンプル試験では問題用紙は持ち帰れないが本試験では自由に持ち帰れるところが非常に良心的だ。試験対策は過去問を徹底的にやることが基本のキだと思うし、その意味でも試験後の問題用紙を持ち帰れるかどうかは重要だと思う。まぁ試験の規模、歴史、体制、親しみやすさ、どの点をとっても、英検と比較するのは酷な話でもあるが。

3級と4級でこの値段だったら、いったい1級と2級はいくらになるのか…1万円超えそうだな、うーん。まぁ医学英検1級は医学英語教育に関わる医師レベルということだから(医大などで医学生に医学英語を教える教授陣という意味だ)、そもそも私なんぞはお呼びじゃないのは充分に判っているけれど。でも撃沈覚悟というか自分の出来なさぶりを見るためにパイロット試験の2級くらいまでは受けてみたいなぁ、ははは。試験実施サイドには迷惑な話かもしれないが(笑)。3級以上はリスニングもあるのだったなぁ。医学英語のリスニングというのはまったくやったことがない。NEJMのポッドキャストでも真面目に聞くとしようかな。何はともあれ秋の医学英検(パイロット試験)、今から楽しみである。

| | コメント (0)

« 2007年7月 | トップページ | 2007年9月 »