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2007年7月12日 (木)

定期案件

定期的に発生する仕事の性質にもいろいろあると思うけれど、私がいただいている定期案件は某大手製薬企業さんの社内資料である(=エンドクライアントさんの社名は教えていただいている)。一般的には、定期案件というとパっと想像するのは月刊誌や週刊誌などの連載記事だろう。この業界では副作用報告が多いんじゃないかなぁ。ただ、副作用報告は大抵は製薬会社は社内で済ませてしまうとも思うので、外注で副作用報告というのはあんまり無いかもしれない。

具体的な用途までは知らせていただいていないので判らないけれど、私がお引き受けしている定期案件は、某製薬企業さんが国内の学会からピックアップした論文を海外本社に送るための英訳なのだそうだ。だから論文中の人名や病院名などにはそれほど神経をとがらせなくても良いといわれている(=論文発表者の人名や病院名などで裏が取れなかったらそれらしいローマ字表記で良い、という意味)。それよりも論文の中身、疾患名や薬剤名などのほうが大事だから、と。私の勝手な想像だが、ピックアップされた論文は海外本社の学術·マーケティング資料になるのではないかと思っている。そのエンドクライアントさんの取り扱い製剤を使用している症例、そういう製剤は使っていないけれど同じ領域の疾患についての報告、ライバル製剤を使っている症例、などの論文が大半だし。こういう論文を元に、いろいろな検討会が社内で行なわれるんじゃないかなぁと思うのだ。当然ながら論文の領域は大体いつも一定している。エンドクライアントさんのホームページで取り扱い製剤をチェックしたり、関連領域を一通りザっと押さえたりしながら1年以上お手伝いさせていただいているおかげで、最近はかなり慣れてきたし、短時間でササっと訳せるようになってきた。

ところが。慣れたころに落とし穴。先日いただいた論文は、今までとまったく違う分野のものだった。えええっ、と思ったけれど、今までは単にひとつの分野に特化したものばかりが来ていただけで、実際にはもっといろいろな分野の翻訳が発生しているのかも。このエンドクライアントさんは大手なのでいくつもの疾患領域の薬を扱っている。翻訳エージェントさんによると、この定期案件の翻訳には複数の翻訳担当者がいるそうなので(=私もその1人ということになる)ある程度は分野ごとに細分化され、担当者が(内部的に)決められているのかもしれないけれど、たまたまその時に引き受けられない担当者が出ることもあるだろうし、エンドクライアントさんのほうでも重点をおく疾患領域が少しずつ変わっていく(=つまり、その領域の論文の翻訳がドカっと増えたりする…)ことだってあるだろう。今まで(この1年ほど)私がお請けしていた領域はこれから少し比重が下がっていくのではないかという気もしている。

いつもの調子でいつもの納期でお請けした後に原稿論文を読み始めて、これはヤバイとようやく気が付いた。疾患領域が違うので、使う用語がまったく違う。いつもの調子なんてトンデモない。山のように出てくる略語もなんのことか判らないし、専門用語以外の、なんでもないような(日本語の)単語の言わんとしていることがつかめない。定期案件だからと安心しきっていた。基本に返って、疾患名と使用薬剤名を手がかりに、ネットでフルテキストで読める英語の論文を探し、10編ほど印刷してせっせと読んだ。手技や治療で使われている単語、薬剤投与あたりの表現を重点的にチェック。使えそうな(というか使うべき)英語の表現をマーカーペンで塗りながらウンウン唸りつつ論文を読んだ。知恵熱でも出そうな感じ(笑)。本当はいつでもこういう準備をしてから翻訳にあたるべきなのに、このところ、「もう慣れたから」と思って手を抜いていた。いかんいかん。

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コメント

どんな分野でも10報読めば、自分なりに納得できる訳文が書けるでしょう。なかなかそういう時間的余裕がありませんけど。でもフルテキストで読める論文が無料で入手できるってホントに有難いですね。ぼくはタダが大好きです♪

投稿: Ya | 2007年7月13日 (金) 12:24

Yaっちゃん、
>フルテキストで読める論文が無料で入手できるってホントに有難いですね。ぼくはタダが大好きです♪

本当にそうですよねー。ほとんどは有料の論文ですが、ていねいに探せば無料でフルテキスト読めるものも沢山あります。私もタダが大好きです♪ インターネットが無い時代に翻訳をなさっていた諸先輩翻訳者さんたちの苦労と努力には本当に頭が下がります。私にはとうてい出来ない…。たったひとつの単語を調べるために図書館に駆け込んだりするフットワークもなく、全部パソコン任せですもん。

投稿: snowberry | 2007年7月15日 (日) 04:34

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