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2007年7月31日 (火)

電子原稿

おうち仕事用にいただく原稿はPDFの画像ファイルが圧倒的に多い。エンドクライアントさんが送ってきた原稿を翻訳エージェントさんが印刷し、翻訳すべき箇所と作業不要箇所を手書きで○をつけたり×をつけたりしたあとに、それを画像スキャンしてPDF化して私に送ってくださるのだろうと思う。もちろん中にはエンドクライアントさんからFAXで送られてきた原稿だったり、電子原稿が存在しないものだってあるというのは判る。でも大抵は、もともとの電子原稿があるはずなのだ。それなのに、エージェントさんにお願いしても、電子原稿をいただけないことが多い。

確かに電子原稿はいろいろな加工が簡単に可能になるので、エンドクライアントさんとしてはあまり電子原稿で出したくないという気持ちがあるのかもしれない。翻訳エージェントさんもそのあたりを見込んで、なるべく電子媒体では原稿を出さないようにしているのではないかと思う。でもこちらにしてみれば、作業の手間や時間を無駄に消費するだけで、良いことは何も無いと思うのだけれどなぁ。先日いただいた原稿も画像スキャン化されたPDF原稿で、少々の時間を割いてテキスト化したあと、OCRの読み取り確認をしながら、同時に用語の確認もしておこうと思い、ネット上で探せそうな情報をチェックし始めたところ、原稿とまったく同じものをネット上で見つけてしまった…嬉しいようなガックリ来るような…。だったら最初からこれを送ってくれれば良いのに。こうなると、エンドクライアントさんかエージェントさんのどちらかが意地悪しているように見えてくる(笑)。ネット上に原稿があると一言教えてくれれば、無駄なテキスト化作業なんてしなくて済むし、その分、翻訳に時間を割けるわけで、多少の質の向上だって見込めると思うのに…(大幅に向上!と言い切れない自分が情けないが)。

学会で発表になったばかりの論文などの場合は、もちろんオンライン版などは無いことが多いのでFAX原稿でも仕方ないと思う。学会で配布されたプログラムなどの紙媒体に掲載されている論文の該当ページをコピーして、それをエンドクライアントさんが翻訳エージェントさんにFAXして、そのFAXをスキャンしたPDFファイルを私がもらう…という手順だ。かなり読み取りづらいけれど他に方法がない。けれども、ネット上にまるごと見付かる原稿というのも確かにかなりある。そういう場合に、電子媒体の原稿があったらお手配お願いします、とお願いしているにもかかわらず、ありません、と言われると、本当かぁ???と思いたくなる。そして探し回ると見付かったりするのだ…。

その調査まで含めて翻訳者の仕事と言われてしまえば何も言えないが、必要の無い余計な手間を産むような今の翻訳業界の常識というか仕事のやり方というのは、なんというか、非常に非効率的だなぁと思わざるを得ない。誰も疑問に持たないのかなぁ。

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2007年7月26日 (木)

緊急対応

このところ日中に非常に眠いので(=例によって夜になると目が冴えてしまうのだが)、今夜こそ早く寝よう!と心の中で何百回めかの狼少年宣言をしながら帰宅。まったり晩御飯を食べた後に、早く寝るのだ!と堅い(ほどでもないが)決意をしながら、ササっとメールチェックだけしよう、急ぎではないものはメールの返事も後回しにして、ネット遊びせずにとにかくサクサク寝ようと思いながらパソコンを立ち上げたのが夜10時頃。レッスンがある日だったので帰宅そのものがいつもより少し遅かったのだが。まあ12時前に寝られれば上出来である。

ここ最近ちょっと不義理をして、ほとんどお手伝いしていないボランティア翻訳サイトの管理人さんからの緊急のヘルプメールが入っていた。それも、メールはつい先ほど入ってきたばかり。何だろうと思って読んでみたら、なんと明日の朝までに校正を仕上げなければならないものがあり、手が足りないので手伝って欲しいという。明日の朝までって、メールが入ってきたのが夜10時なのに? いやまぁ、別に私はいつもそういう時間に作業しているから驚くようなことでもないが、普通の人には難しいのではなかろうか。作業ファイルはワードで100ページ超。10ページで良いから手伝って欲しいという。まぁ10ページくらい構いませんけどね。

私がボランティア登録を始めた頃は、とにかく人手が欲しいので手伝ってくれれば誰でも良いという雰囲気があった。その後、サイトは順調に成長し(もちろん管理人さんの並々ならぬご尽力のたまものだと思う)、量は確保できたのでこれからは質を追及していきたいとのことで、今はボランティアスタッフに登録する際にも、必要であればトライアルが課されるし、語学の資格なども考慮される。私は無試験で登録してしまったラクチン組だが、ここ最近の登録スタッフさんは、海外在住の現役看護師さん、大学院の研究室にいらっしゃる方々など、とにかく優秀な人ばかり。古株の私がお手伝いなんかしなくても…と思っていたのだけれど、緊急時にすぐに対応するくらいのお手伝いは出来る。夜行性の私にはピッタリのお手伝いだ(笑)。幸い、今ならおうち仕事のほうにも支障はない。

海外スタッフもいることだし(笑)時差対応も可能なわけで、おそらく海外にいらっしゃる方にはかなりの分量が振り分けられたのではないかと思う。私の割り当て分が比較的早く終わったところに、管理人さんから「もう少しやってもらっても大丈夫ですか?」というメールが来たので、うーむ、ちゃんと会社に行けるかしらと思いつつも、きっと大量に抱えながら遠慮しつつ割り振っている管理人さんのご苦労を思って(もちろん同時刻に管理人さんも必死に作業をしているわけで)、もう少しなら、と追加分をお受けして、仕上がったのが午前4時半。管理人さんからすぐに受領確認メール。それぞれ違う場所にいるけれど、おそらく10数人単位のスタッフが同じ時間に一緒に頑張って作業していたのだろうと思う。間に合って良かった、お手伝いできて良かった。

結局、納品後にいつものメールチェックやらサイト巡回やら(=眠くてもこういうことは欠かさないのだ。というか、こういう時間になると眠くないんだよなぁ)で、寝たのは午前5時半ごろだった。。。うーむ、今夜こそ早く寝よう(笑)。

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2007年7月12日 (木)

定期案件

定期的に発生する仕事の性質にもいろいろあると思うけれど、私がいただいている定期案件は某大手製薬企業さんの社内資料である(=エンドクライアントさんの社名は教えていただいている)。一般的には、定期案件というとパっと想像するのは月刊誌や週刊誌などの連載記事だろう。この業界では副作用報告が多いんじゃないかなぁ。ただ、副作用報告は大抵は製薬会社は社内で済ませてしまうとも思うので、外注で副作用報告というのはあんまり無いかもしれない。

具体的な用途までは知らせていただいていないので判らないけれど、私がお引き受けしている定期案件は、某製薬企業さんが国内の学会からピックアップした論文を海外本社に送るための英訳なのだそうだ。だから論文中の人名や病院名などにはそれほど神経をとがらせなくても良いといわれている(=論文発表者の人名や病院名などで裏が取れなかったらそれらしいローマ字表記で良い、という意味)。それよりも論文の中身、疾患名や薬剤名などのほうが大事だから、と。私の勝手な想像だが、ピックアップされた論文は海外本社の学術·マーケティング資料になるのではないかと思っている。そのエンドクライアントさんの取り扱い製剤を使用している症例、そういう製剤は使っていないけれど同じ領域の疾患についての報告、ライバル製剤を使っている症例、などの論文が大半だし。こういう論文を元に、いろいろな検討会が社内で行なわれるんじゃないかなぁと思うのだ。当然ながら論文の領域は大体いつも一定している。エンドクライアントさんのホームページで取り扱い製剤をチェックしたり、関連領域を一通りザっと押さえたりしながら1年以上お手伝いさせていただいているおかげで、最近はかなり慣れてきたし、短時間でササっと訳せるようになってきた。

ところが。慣れたころに落とし穴。先日いただいた論文は、今までとまったく違う分野のものだった。えええっ、と思ったけれど、今までは単にひとつの分野に特化したものばかりが来ていただけで、実際にはもっといろいろな分野の翻訳が発生しているのかも。このエンドクライアントさんは大手なのでいくつもの疾患領域の薬を扱っている。翻訳エージェントさんによると、この定期案件の翻訳には複数の翻訳担当者がいるそうなので(=私もその1人ということになる)ある程度は分野ごとに細分化され、担当者が(内部的に)決められているのかもしれないけれど、たまたまその時に引き受けられない担当者が出ることもあるだろうし、エンドクライアントさんのほうでも重点をおく疾患領域が少しずつ変わっていく(=つまり、その領域の論文の翻訳がドカっと増えたりする…)ことだってあるだろう。今まで(この1年ほど)私がお請けしていた領域はこれから少し比重が下がっていくのではないかという気もしている。

いつもの調子でいつもの納期でお請けした後に原稿論文を読み始めて、これはヤバイとようやく気が付いた。疾患領域が違うので、使う用語がまったく違う。いつもの調子なんてトンデモない。山のように出てくる略語もなんのことか判らないし、専門用語以外の、なんでもないような(日本語の)単語の言わんとしていることがつかめない。定期案件だからと安心しきっていた。基本に返って、疾患名と使用薬剤名を手がかりに、ネットでフルテキストで読める英語の論文を探し、10編ほど印刷してせっせと読んだ。手技や治療で使われている単語、薬剤投与あたりの表現を重点的にチェック。使えそうな(というか使うべき)英語の表現をマーカーペンで塗りながらウンウン唸りつつ論文を読んだ。知恵熱でも出そうな感じ(笑)。本当はいつでもこういう準備をしてから翻訳にあたるべきなのに、このところ、「もう慣れたから」と思って手を抜いていた。いかんいかん。

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2007年7月 7日 (土)

お茶菓子

6月は本当にノンビリ過ごしてしまった。予想通りというか予想外にというか、5月まであんなにバタバタしていたのに、6月はまったくおうち仕事が無かったのである。干されたか、と本気で思ってしまった。いや、本当に干されていたのかもしれないが。毎週の定期案件以外はいっさいおうち仕事は無かった。その分、用語の整理をノンビリやったり、英検のことでバタバタしたり、そういえば体調崩して寝込んだりしていたっけ、ははは。部屋の片付けも模様替えもしたし。いろいろとスタンバイOK。なんのスタンバイだか判らないが。

7月に入ったら、またポコポコとおうち仕事が舞い込んで来て(干されたと思っていたエージェントさんからも)、7月に入ってからはまたもや夜なべの日々。そうならないように6月はいろいろ整理整頓していたハズなんだけどなぁ。うーん。どうやら永遠の課題。

会社仕事はまぁボチボチ。先日のプロジェクト定例会議のときに、プロジェクトリーダーが小さな箱を持って来た。ゆうパックの一番小さな箱くらいの大きさである。今日は試食会です、などというので、えっ、お茶菓子ですか?と訊いたら、まぁそんなもの、という。もちろん、訊いた私も会議に参加しているメンバーも、箱に何が入っているのかは当然知っている。

中身は本社から送られてきたサンプル(笑)。日本でこれから開発計画を作るために、現行の製剤の剤型、色合い、大きさ、味などを確認するためのもの。箱を開けて、中身を見て、実際に口にしてみた。全員、こんなの飲めないよ!に始まって、これじゃ絶対に日本じゃ売れないとか、こんなの具合の悪い人が飲めるハズが無いとか、剤型は絶対に要検討!などという意見が続出。大きさも欧米人サイズでバカでかい。私個人としては1/4の分割錠にして欲しいくらいだ。ムリだろうけど。自慢じゃないが基本的に錠剤がとても苦手な私、当然ながら「絶対に飲めない(&飲みたくない)」に一票だった…。それにしても、こういう体験のひとつひとつが面白い。お茶菓子付きの会議(笑)はとても新鮮だった。

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2007年7月 3日 (火)

コンサバ

新規プロジェクトでの翻訳業務は用語集作りも重要な仕事のひとつになる。私自身が自分で使うためのものではなく、プロジェクト全体で使う用語をそろえるために、訳語を規定していかなければならない。スタイルガイドも同様で、「または」とか「および」を漢字にするか平仮名にするかに始まって、臨床試験第1相と第Ⅰ相はどちらにするか、「臨床試験」を使うか「治験」を使うかなど、「どっちでもいいけど、どっちかにそろえなきゃ」というようなものが山ほどある。厚労省のサイトの新薬申請ページを見て、最新の各社の申請書類をチェックして、まだ「第Ⅰ相」が主流だね、とか、患者数は「○人」ではなく、「○例」で統一しているほうが多いからそっちで行こう、などとひとつひとつ確認していく。上司いわく、「なるべくコンサバに。なるべく多数派に合わせて」という。うーん。正直、個人的にはそういうのは好きじゃない。

数年後にこのプロジェクトを申請するときには、世界の流れに合わせて、きっと臨床試験は「第1相」になっているし、患者を「○例」と表記するのは人権侵害という欧米の流れに合わせて、きっと「○人」になっている。でも、今の厚労省の書類の大半はこうなっているから、と上司は言う。だから…。それじゃ悪しき慣例は何も変わらないんだってば。メディカルライティング講座で言われた、「クライアントの本当に望むスタイルで書く」という言葉がなんだか揺らぐ。現場では結局は冒険を怖がる。これじゃいつまで経っても、「A, B, and/or C」を、「A、B、及び/又はC」と訳すことになり、読みづらい日本語がそのまま横行してしまう(=私が訳すときは、当然、「A、B、Cは~」と訳してしまう。「及び/又は」などという日本語は存在しないと思っているから)。でも私の好みを言ったって何もならない。コンサバで、と言われればそれに従うしかない。ここで決定した表記を、これから何年間にわたるプロジェクト全体で使っていくのだから、私みたいな下っ端の好みで決められるものではない(笑)。

プロジェクト全員が同じ用語にそろえていくための環境作りとして、用語集をどのように参照するのかについても上司といろいろ相談。当然ながら私のほうがアレコレと周辺ツールには詳しいので、ひとつひとつ、上司に実物を見せて使い勝手を説明しながら特長やら機能やらを紹介していく。その結果、上司が気に入ったのはDDWinだった(笑)。こりゃ私の好みがかなり反映しているかもしれない…。私がDDWin好きなので。PDicとかなり競い合ったのだけれど、他の人は新しい用語を追加することは原則しない、新しい用語の追加はすべて私が窓口として定期的に一貫して行なう、統一用語集をひとつの辞書としてDDWinに加える、ということになった。つまり、DDWin用に統一用語集を一冊のEPWing形式ファイルとして作成することになる。

当然、和訳も規定していかなければならない。こちらについては、和訳が存在しないものが多々あるので、それもひとつひとつ、上司と確認して、どの訳語を使っていくかを決めていく。これから日本ではこの呼び方がスタンダードになるかもしれない訳語を決定していくのかと思うと、ちょっとワクワクする(笑)。最新の医学論文などを訳しているベテランの翻訳者さんなら、自分が決めた訳語が日本の医学会でこれからスタンダードになっていくという翻訳の醍醐味を味わうことなど日常茶飯事かもしれないが、ぺーぺーの私にとっては、自分ひとりではまだ到底そんな楽しみを味わうことなどできない。こういうところは、製薬企業勤めをしていなければ味わえないことだろうなぁと思う。

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