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2007年4月 9日 (月)

顔合わせ

翻訳の仕事をしている人にとって、自分の名前を冠した翻訳本がでるというのは、やはり誰でも嬉しいものだろうし憧れがあるのではないかと思う。自分の仕事がハッキリと形になって、誰の目にもそうと判るのだから。もちろん普段の仕事も、訳したものは成果物としてハッキリと形になるわけで、そのあたりは通訳者さんの仕事と大きく違うところだけれど、少なくとも産業翻訳の場合は誰が訳したかなど問われることはないし、訳した文書に自分の名前が出ることなどない。納品してしまった後は、自分の訳したものがどこでどういう形で使われるのかも判らないし、普通は(ウェブサイトの翻訳の仕事などではないかぎり)お目にかかることもない。

出版モノの翻訳には確かに憧れはある。でもいざ自分がやることを考えると、ううううう~~~~~ん、まだ自分はそこまでいかないだろうよ、と思う。実力的にも精神的にも。今はエージェントさんからお引き受けした案件を自分のペースで楽しく引きこもって作業しているのがちょうど良い感じなのだ。かなり長期にわたる案件を一定のペースで訳しあげながら、定期的に分納したり打ち合わせしたりしながらエージェントさんと二人三脚で仕事を進めていくのは、今の私にはまだ時期尚早だと思える。

昨年、どういうわけか一度、出版翻訳のご依頼をいただいた。何かの間違いだろうと思ってお断りした。先週もどういうわけか出版翻訳のご依頼をいただいた。やはり何かの間違いだろうと思ってお断りした。が、まだ時間が有るのでもう一度よく考えてみてくださいというお返事を頂いた。はぁ。でも私にはまだ無理だと思うんですが。間違いというワケではないのかもしれないが、前回も今回も共通しているのは、当たり前のことだけれど、敢えて私にという依頼ではなく、誰かやってください、という感じであること。つまりまず最初に打ち合わせや顔合わせをして、エージェントさんとじっくり内容を話し合い、興味の度合い、スキルやバックグラウンド、期待される作業スピード、実際に業務に入った後の作業の流れなどを、膝を交えて話し合ってから、ということなのだ。

つまり何人もの翻訳者さんに声を掛けて、まずは何人もに会ってみて、その中から振るい分けていこうという話なのだと思う。今回のお話は複数メンバーで翻訳を担当するということなので共訳する複数の翻訳者を探しているということなのだろうけれど。うーん。何よりもまず、「最初に顔合わせをして…」という時点で私はもうダメだ。まず打ち合せありき、というのがもう心理的にブロックが掛かる。出不精なのだ、人と会うのが苦手なのだ、担当者との綿密な打ち合わせが必要な仕事だということは重々承知だけれど、まだ私はそういう仕事に積極的に名乗りを上げたいとは思わない。そこまでして出版翻訳を手掛けたいとは思わない。誰とも会わずに自宅でノンビリできる仕事がサイコーだと思っているのだから、わざわざ「要・顔合わせ」の仕事をしたいと思うワケがない。いずれ自分の仕事にもっと自信が持てるようになって、出版翻訳にも意欲的に取り組めるようになったときにチャンスがめぐってきたら、そのときには挑戦してみたいなと思う。10年くらい先の話かも(笑)。

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コメント

出版翻訳は不特定多数の人々の目にさらされる、という恐ろしさがありますよね。先日私も雑誌のコラムを英訳する仕事をしました。たいした量ではなかったのでクレジットもでませんでしたが。それでも本屋さんでその本を見つけたとき、嬉しいよりも空恐ろしくてその場から逃げ去りたい衝動にかられました。自分の翻訳に自信がなかったんですねえ、申し訳ないことですが。「どうだ、皆見てくれ!」くらいに思えるようになるにはひたすら勉強するしかないんでしょうね。もちろんsnowberryさんの場合は、ネックは翻訳の力ではなく「打ち合わせ」のようですけど(笑)でも、もったいないなあ~。

投稿: やすこ | 2007年4月10日 (火) 12:50

やすこさん、
>私も雑誌のコラムを英訳する仕事をしました。

あ、そうか、ホームページの仕事じゃなくても雑誌の仕事でも自分が訳したものは一般の人の元に届きますね。雑誌コラムかぁ、カッコいいですね! ネイチャーとかサイエンスの記事を翻訳している人というのも憧れます(=結構ミーハーな私)。

>嬉しいよりも空恐ろしくてその場から逃げ去りたい衝動にかられました。

私はそういうのが未経験なのですが(本当に企業内向けの翻訳しかしたことがないので)でも同じ状況だったら、きっと同じように思うだろうなぁ。だからまだ出版翻訳をお引き受けする気にならないのです。

>ネックは翻訳の力ではなく「打ち合わせ」のようですけど

いやいや、翻訳の力がないから、打ち合わせが余計にイヤなんですよ~(笑)。実力に自信が有れば、キライな打ち合わせもサクっとこなせるんではないかと…。翻訳以前の、こういう周辺的なことで腰が引けるうちは、やはりまだまだなんだと思います。

投稿: snowberry | 2007年4月10日 (火) 19:59

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