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2007年1月 4日 (木)

五体満足

私は独身シングル未産である(=昨今は独身でも子供がいるというケースも珍しくないので一応こうやって但し書きしておく)。結婚した経験は無く、その予定もない。出産した経験も無いし、その予定もない。だから子供を授かったときの気持ちや、これから子供が産まれるときの女性の気持ちというのは未経験なので判らない。でも誰でも共通して願うことは五体満足で健康に産まれて欲しいということだと思う。健康は何よりの財産であり、恵みであり、幸福なことだから。

けれども、障害を持って産まれてくる子供というのも一定数は必ず存在する。障害を持っている人を見かけたときに「可哀想」と同情することは決してそれ自体は悪いことだとは思わない。障害者は、なんてことのない当たり前の行動をするにしても、健常者の何倍もの時間や労力を要することが多い。それを「大変そう」だと思うこと、相手をいたわること、何か手伝いたいと思うことは人間らしい自然な気持ちだと思う。でも、もしそこに、「自分ではなくて良かった」、「自分の子供ではなくて良かった」という気持ちが混じってきたら、それは偽善や奢りになってしまう。街中で障害者を見かけると目をそらしたり、自分の子供に向かって「見るんじゃありません」と言ったりするのは、ちょっと違うだろうよ、と思う。

ずっと昔、もう、いつどこで読んだのか覚えていないのだが、とても印象深く心に残っている話がある。人間は本当は誰でもみんな平等に障害を抱えて産まれてくることになっている。100人いれば、それぞれが1%ずつ障害を抱えて産まれるハズになっている。あなたは指がなかったかも知れない。彼は目が見えなかったかもしれない。彼女は足が曲がっていたかもしれない。でもそれでは100%の健常人は1人も居ないことになる。だから神様は、多くの人が健康な生活を送れるように、99人分の障害を集めて、1人の障害者がすべてを肩代わりして産まれるようになさった。指が無くて目が見えなくて足が曲がって心臓に欠陥があって成長障害があって…1人で99人分の障害を背負って産まれる子供。障害者はあなたの分の障害を背負ってくれている人なのだ。あなたの分も、私の分も、あなたの隣の人の分も、すべてを背負って障害者として産まれてきて、必死に生きている人がいるのだ。

障害者に過度に同情する必要はないと思う。けれど、私が健康で五体満足なのは私が恵まれているからではなく、私が受けるはずだった分の障害を負ってくれた人が、この地球上のどこかに居るからと思えば、障害者に偏見をいだいたり排除しようとすることがどんなに貧しいことかと思わされる。これは、先天性疾患の話だけではなく、後天的な病気についても同じだと思う。生活習慣や食生活など、因果関係がハッキリしているものは別として、何も悪いことしていないのになぜこんな病気に、ということが有ると思う。それもすべて同じ話なんじゃないかと私は解釈している。一定の確率で誰かが病気になる。自分ではなくて良かった、障害者や重病患者には関わりたくない、見て見ぬ振りをしよう、という考え方の貧しさ。私自身が負うべき障害、私自身が罹ったかもしれない疾患を背負って生きている見知らぬ誰かが居る。その人に心から感謝せずにいられない。そして自分が当たり前に健康であることにも、ただ感謝するばかりである。

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コメント

こういう視点って、自分の中に無かったから、とても新鮮。
今まで、自分が避けていたものなんだろうなぁ。

なにが正しいとか、そういうところまで考えられないけれども、
ご紹介いただいた立ち位置から考えてみることは
すごく意味があるなぁ。

含蓄あるお話、どうもありがとう!

投稿: あるふぁ | 2007年1月 4日 (木) 23:29

>こういう視点って、自分の中に無かったから、とても新鮮。

あるふぁさん、こちらに書きこみいただくのはご無沙汰ですね、ご訪問ありがと。新鮮かぁ、私はいつ頃この話を読んだのか(=本だと思うんですけどね)全然覚えてないんですが、10年くらい前に友人(高校時代の後輩で当時赤ちゃんが生まれたばかり)に話したことがあって、えらく感動されたことがあります。その時すでに、いつ自分の中にインプットされた話か覚えていなかったから、、、20年くらい前、かも。。。まぁ昔は濫読多読だったのです(=その分、今はサッパリですが、笑)。

>含蓄あるお話、どうもありがとう!

うわ、そう言われると照れちゃいますね(って何でだ?笑)。悲惨な世相を見るにつけ、今この瞬間に自分が持っているもの(普通に呼吸して普通に生きて普通に屋根のある家に住んで…あらゆることですね)に感謝したくなるし、みんなそう思っていれば世の中は荒れないんだろうになぁと思わずにいられないのです。お正月だから、普段より余計に平和な世の中を、って思っちゃうのかもしれないですけどね。

投稿: snowberry | 2007年1月 5日 (金) 00:33

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