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2006年11月 4日 (土)

改訂反映

医学に限らず科学技術分野というのは日進月歩(…それ以上に速いかもしれない)。何か新しい製品が生まれても、それで終わりということにはならない。研究や開発は延々と続き、最先端と言われるものは次々と塗り替えられていく。5年前に最新型だったパソコンはいまや一体…ということを考えればよく判ることだ(いや、1年前で考えても良いくらいかもしれない)。製品も、情報も、そのとき最先端であっても、時間が経てば古くて使い物にならなくなる。

治療方法にしても同じことが言える。研究が進み、新しい治療方法が出てくれば、古い情報を改訂していくのは当然のことだと思う。けれども、翻訳者としてそれを実感する機会というのは、実際にはあまり無いのではなかろうか。会社の中でずっと同じプロジェクトや同じ製品に関わっていれば、プレスリリースやホームページの更新など、その場で現場の空気として判るだろうと思うけれど、企業内にいるのでもない限り、自分が一度翻訳したものを、数年後に改訂版として再び自分で翻訳する機会というのはどれくらいあるだろう。ベテラン翻訳者さんであれば、エンドクライアントさんからの指名で、「以前に訳してくれた同じ翻訳者さんにもう一度お願いしたい」と言われることがあるのかな? そんなことがあったら翻訳者冥利だろうなぁ。

翻訳のお手伝いをしている癌関係の情報サイトで、FDA情報が改訂されたことに基づき、翻訳についても情報をアップデートしていきたいので、過去(に私が訳して掲載済みになっている薬剤)の翻訳を改訂して欲しいという依頼があった。こういうところがあのサイトのすごいところだと感心する。ボランティア運営のサイトで、ここまできっちり作られているところはあまり無いのではなかろうか。普通なら、一度翻訳したらそれで終わり、である。薬剤や最新の治療方法に関して、常に最新の情報を収集し、過去に取り扱ったものが改訂されれば、翻訳についてもきちんとそれを反映する。なかなか出来ることではないと思う。そのサイトの管理人さんは、「いつも I am your servant. という気持ちでやっている」と以前におっしゃっていた。本当に頭が上がらない。

依頼されたのは一週間前なのだが、申し訳ないとは思いつつも今週はずっとバタバタしていて取り組む余裕がなかった。この連休中にチェックして仕上げて提出したいと思っている(=英検問題を見るヒマが無いかも…。まぁアレはいつでも良いし)。私も管理人さんの志に倣いたいと思ってはいるのだけれど、「I am your servant」という気持ちを貫くのは難しい。多忙な管理人さんは説明もいつも短く(=私が長すぎるというのもあるが)、意思疎通が難しいと感じることも多くて、少し前にスタッフとしての協力も降ろさせていただいたところなのだ。もちろん私も忙しくなってきて瞬時に対応できないことが多くなってきたというのもあるのだけれど。でもいずれにせよ翻訳のお手伝いは今後も続けさせていただきたいと思っている。何よりも、管理人さんの取り組み方を見ていると、医学分野に関わろうとする者として教えられることがとても多い。

http://www.cancerit.jp/

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コメント

いろんなところで(ってここともう1箇所ですけど)出てくるボランティア翻訳ってコレのことなんですね~。
面白そうと思ったけど、今はどうやら募集していないようなので、
ま、そのうち人が必要になったらやってみようかな。

翻訳そのものでいっぱいいっぱいになってると忘れがちですけど、
最後は患者さんに還元されるべき仕事なんですものね、アタシたちがやってるのって。

投稿: とりじろう(♀) | 2006年11月 5日 (日) 19:35

>今はどうやら募集していないようなので、

このところ優秀な方々がたくさん参加してくださるようになって良い感じに回ってきているんだと思います。当初は「ダレでも良いからお願い手伝って!」的な(なんて言ったら怒られるかな?)感じだったのですが、体制も整ってきて、今は参加のための英語力とか翻訳力とかが一応チェックされるようになってきたので、結果として後から参加している方々のほうがレベルが高いんですよ~(私は初期登録組なので、えへへ)。もちろん、とりじろうさんが参加するとしたら参加条件は一発でクリアでしょうね~。

意外とあちこちでボランティア翻訳ってあるんですよね。有名どころは骨髄移植かな? 以前に問い合わせたことがあったのですが(数年前)そのときの私にはレベルが高すぎてお手伝いに至らず、でした。

>最後は患者さんに還元されるべき仕事なんですものね

本当に。その気持ちなくして携わってはいけないですよね。

投稿: snowberry | 2006年11月 7日 (火) 00:01

翻訳は歓迎で掲載してもかまわないけれど、連絡はするようにという記載のほかに、翻訳したものには責任はもたないってサイトが医療関連サイトには多いと思います。英文できちんと伝えられて、訂正をしやすいようなサイトを立ち上げたら、ボランティア翻訳って、自分でもできるんではないかなーとも思います。

ただし、本業の他の連載は大変ですけどね。

もし、されたい方がいるなら、コミュニティの賑わっている病院での処方箋の翻訳や、通訳なんかも可能性ありますよー。

投稿: wetch | 2006年11月 7日 (火) 21:19

>翻訳は歓迎で掲載してもかまわないけれど、

そういう医療関係サイトがあるんですか? へぇぇ~。

ちなみに私がボランティア参加しているサイトは、基本的には外部に無償での翻訳許諾は出していない医療機関からきちんと翻訳許諾を得ています(FDAとか、NCIとか、MEDSCAPEとか、ASCOとか)。そういうサイトは有償での翻訳許諾が基本みたいで、管理人さんが数ヵ月とか半年とか粘りに粘って、何度も何度も交渉して、サイトの実績なども見てもらって、やっと翻訳許諾をいただいたというところばかりです(初の無償翻訳許諾を得たという医療機関のものもあります)。管理人さんの熱意の賜物だなぁといつも感心しています。なので、翻訳歓迎、という医療機関って、逆にどんなところなのかちょっと興味ありますね~。


投稿: snowberry | 2006年11月 7日 (火) 22:37

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