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2006年10月 5日 (木)

読めない

先日は読んでも意味不明の原稿の話をしたけれど、今日は読めない原稿に少々焦ってしまった。私がお請けしている定期案件の論文は、エンドクライアントさんが翻訳エージェントさんにFAXで原稿を送り、エージェントさんがそれをPDF化して私にメールで送ってくれるのだが、すでにFAX受信時に曲がっていたり字がつぶれていたりかすれていたりで、いずれにせよきれいにテキスト抽出できるとは思えない状態。本音を言うとそこで一手間かけて、読み取り可能なPDF(テキスト化が可能なもの)にして欲しいとは思うのだけれど、画像処理のPDFとして私に送られてくる。そのPDFを受信した後に、私はテキスト化して翻訳作業に入るわけだが。

今回の論文は、もともとの字がそんなに小さかったわけではないのに、つぶれかかっている字が多かった。句読点の「。」がほとんど「.」になっているような状態。なので画数の多い漢字はかなりつぶれかかっている。もちろん、前後の文章があるし、何よりも普通の日本人だったら判読には困らない程度だけれど。でもスキャンで読み取ると化け化け状態になるようなシロモノ。

ところがところが。一ヵ所だけどうしても判らない。医学用語ではなく普通の表現部分である。どうみても(ちょっとつぶれてはいるけれど)この漢字だろうと思われる字なのだけれど、そんな熟語は聞いたことがない。ググっても出てこない。広辞苑やネットで大辞林を引いても該当なしである。日本語なのに判らないなんてどうしよう! 当然、日本語が判らないのだから英訳など出来るはずがない。あるいはつぶれかけて別の字になっている? それにしても、母国語の原稿で読めない・判らない表現に出会ったのは初めてで、軽い衝撃を覚えてしまった。もちろんこのままでは作業できないのでエージェントさんに連絡して、元原稿の確認をお願いした。すぐにお返事をいただき、元原稿もつぶれているのでちょっと判読しずらいけれど、おそらくは推測した漢字はタイポではないか、そして意味合いとしては、私が推測したもので良いだろうとのこと。

タイムやエコノミストに出てくる見知らぬ単語を辞書で引いても出てこなくて、これは原稿のスペルミスに違いない、ということに初めて気が付いたときには、案外あのあたりの雑誌にもタイポがあるというのが意外だった(=でも、ネットで読む場合は割とちょくちょく遭遇する)。おかげで、和訳の際の英文原稿でヘンな単語が出てくるとスペルミスだろうな~と思って進めてしまえるのだが、日本語の原稿でのタイポには慣れていなかった(=第一、熟語であれば普通は打ち間違えようがないと思う。漢字変換を一語ずつ行なったということなんだろうか…)。タイムのときにもそうなのだが、それがスペルミスなのか、あるいは単に自分が知らないだけの単語なのか、今一つ自信が持てなかったりする。今回の熟語も、私の知らない日本語熟語なのかと思って内心ちょっと焦ってしまったのだ。タイポで良かった…。翻訳者には母国語力が大事と言われるけれど、母国語原稿でこの有り様では本当に困る。行き着くところは読書量ということかなぁ。

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コメント

読書量も大切ですね。

私が、駆け出し3か月で、先輩から分担してもらった四個度は、左側がすべて3文字半分欠けて、FAX送信されたというものでした。前後の文脈と、半分まで見える文字のパターンを理解しての作業は、翻訳というよりは、クイズに近かったのを覚えています。

たまたま、初めて間もなく、「こういう切れているのが当たり前だと思え~」という訓辞があったため、その後も抵抗はありませんでした。

一昨年度、外国人が非常勤で私の所属する学校に入学するための現地外国機関からの推薦状のようなものを、依頼されました。お門違いで、しかも、原文に重なって、細いしおりがコピーされていて、途中が全く読めないというものがありました(しかも、布製なので途中でカーブした虫食い状態)。

完全に公式でないので、そこそこ体裁を整えて事なきを得ましたが、ある程度、初めからあいた穴も取り繕えるってのも技術かなーと思いました。

投稿: ちょびの助の飼い主 | 2006年10月 6日 (金) 21:57

>左側がすべて3文字半分欠けて、

そ、それはかなり強烈ですね! 会社の書類ではときどきそういうものに遭遇しますけれど、自宅でやる仕事だったら想像力だけでは私には太刀打ちできないかも…。

>原文に重なって、細いしおりがコピーされていて、途中が全く読めないというものがありました

あわわわ、原稿が重なってというのもすさまじい。でもFAXだと有り得ますもんね。あとは端が折れたものがそのままFAXにかけられて(=ゆえに端のめくれた部分が隠れて読めなくなったり)、そういうのも職場で見かけます。電子ファイル時代になってそのあたりはかなり良くなった気がします。

>ある程度、初めからあいた穴も取り繕えるってのも技術かなーと思いました。

すごい技術ですよー! 私はまだそれだけの度胸も技術も無いなぁ…。元々の穴が開いていないのを祈るばかりという感じで。穴を見つけたらエージェントに泣きつくことをまず考えちゃいますね。ただ、こういう技術ってやっぱり一朝一夕ではないのでしょうから、経験を積んでぜひとも身に着けたい貴重な技術だと思います。

投稿: snowberry | 2006年10月 7日 (土) 14:03

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