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2006年9月30日 (土)

K・I・S・S

メディカルライティング講座の最終授業で先生が連呼していた言葉。「KISS」だそうである。「Keep it short, stupid!」の略だそうで。最初は「Keep it short and simple」のことかと思ったので、なぜここで「stupid?」と思ったのだけれど、「and」じゃなくてカンマだったので納得。

講座の最終日は英語論文と英語による講義ということかなり気合を入れて臨んだ私。壇上には欧米人と思わしき(紹介を聞いたところ、イギリス人の講師だった)男性が居て、スタッフの女性が先生のご紹介を日本語でしたあとに、さていよいよ授業。…と思いきや、聞こえてきたのは流暢な日本語。「今日ハ私ノ下手ナ日本語デスミマセン」と言いつつ、いえいえどうして、私の英語より遥かに上手デス…。考えてみたらメディカルライティングのベテランの先生である、日本語論文を英語に翻訳し、英文ジャーナルの投稿規程に合わせてリライトし、何本もの論文をアクセプトさせているという方なのだから日本語がペラペラなのは当たり前だった…。先週に続き、またもや気合いが空振りして気が抜ける私。

ところが授業が始まってすぐに、呆けている場合ではないことに気が付いた。プレゼン内容がハンドアウト資料の中に無いのである。休憩時間にスタッフに訊きに行ったところ、今回の講義内容に近いものを、近日中に出版予定なので講師希望により資料を配布できない、とのこと。なななななんですって! だって「資料代」という名目で授業料とってるんでしょーが! いやそれよりも、講義は日本語で行われているけれど、プレゼン資料は全部英語で書かれていて、しかもものすごいスピードでスライドをめくっていくものだから、聞いているだけで精一杯、とてもメモを書き取る余裕がない。そりゃ録音もしていたけれど、「ヘタクソなプレゼン」の典型ではスライド内容を音読して終わりだが、この先生、「上手なプレゼン」をなさるものだから、スライド内容を音読したりはしない。スライドとは違う内容をお話なさるので、それを聴きながらスライドに目を走らせて必要な部分をノートに書き取って、、、いるうちに、次のスライドに進んでしまう! 早すぎるっ!

実際の論文と、先生の創作による「ダメな例」の論文を比較しながら、「KISS」のルールにのっとって、いかに短く簡潔に書き替え、アクセプトされる論文にしていくかを繰り返し説明していただき、演習問題をやり、良い例とされる論文のどこがどう良いのかを確認しながらどんどん授業が進んだ。他にも、基本中の基本のことではあるが、論文のIMRADごとの時制、文型、順番などについても、実際の論文を用いながら具体的に説明していただき、英訳する際の大きな参考になった。日本人はとかく文法の正しさにこだわるけれど、1つの文章としては文法がカンペキでも、全体ではまるで「なっていない」論文もある、とのことで、その例を見せられたときには大いに納得。こういうのは漫然と参考書などを読んでいては実感として判らないことだなぁと思った。講義の最後にめでたく終了証をいただいて講義室を後にした。毎週のセミナーというのは少々シンドイのは事実だが、1回だけの単発セミナーよりもずっと充実した内容のことを学べて、今回は参加して本当に正解だった。去年も同じ内容のセミナーがあったし、おそらく来年もやるだろうと思うが、英訳のお仕事を少しずつ請けるようになってきた私には、今このタイミングでの受講がちょうど良かったと思う。

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