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2006年3月24日 (金)

科学英語

昨日は久しぶりに仕込みに燃えた。翻訳の下作業でもなく歌でもなく、今度は英語教材である。1月下旬の英検本番が終わったあと、今はちょうどお休み期間にしているので、ちょっと各種記事を読み漁る作業をサボっていたのだ。でもそろそろやっておかないと後がツラくなるので、まとめてエコノミストを大量に一気読みする。脳ミソから煙が出そうである。久しぶりに頭を使った気分というか・・・。でもエコノミストの切り口は面白い。BBCも面白いのだが、エコノミストの辛らつさというかシニカルさというか、そういうあたりにイギリス気質みたいなものを感じる。

英検向けの読解の勉強の王道といえば以前はタイム誌だった。私も数年間タイムを定期購読していた。タイムの記事の良し悪しも判らないのに、タイムさえ読めるようになれば合格するものだと思っていた。でも、通っていた英語学校の恩師がタイムに見切りをつけたのは911事件の少しあとだった。泣く子も黙る世界のタイム、という感じだったけれど、恩師が言うには、あの事件以降のタイムは少し記事の内容が変わってきて面白くない、アメリカ至上主義が色濃く出すぎて記事に偏りが見られるようになり、世界各地のさまざまな話題を公平な観点から扱うことが少なくなってきたように思える、とのことだった。そのころから、恩師はタイムの記事を使わなくなり、代わりにエコノミストを重点的に扱うようになった。それまで私はエコノミストのことを経済記事ばかりの堅物雑誌かと思っていたのだが、実際には国際記事、政治経済、科学技術など、タイムとそれほど遜色ないバラエティに富んだ内容で、しかもなんといっても「イギリス気質」なのだ。これがすっかり気に入ってしまって、私も以降はエコノミストを使うようになった。

日本語で読んでもサッパリよく判らない(=というか興味のもてない)経済記事はやはり英語で読んでもサッパリどころかチンプンカンプン状態になるのであまり読みたくないのだが、エコノミストの科学技術記事は面白い。英語以前に、ナルホドこんなものがあるのか、とか、こんなことが出来るのか、という発見があるので新鮮なのだ。外国語の習得は、言語の勉強だけが目的だと少しも面白くない。その言語を使って知識の交換、情報伝達、コミュニケーションが取れなければ活きた言語にはならない。言葉の壁を感じることなくスラスラと読めて新しい知識を得て、ちょっとオトクな気分になれる(=知識の習得とは嬉しいものでありお得感があってしかるべきだ)、それがサイエンス系の記事だと思う。思想や理屈をこねくりまわさないので単語もそんなに難しくないし、文化の違いもほとんど影響がない。これを勉強に使わないテはないではないか。

同じようなことを考えて実践なさっている教育者もいるのだということを先日の某新聞記事で知った。高校の英語の授業でBBCの科学系の記事を使っているそうだ。すごいねぇ、この高校生たちは良い先生にめぐりあったよ。日ごろからBBCを読みなれていたらエコノミストだってそんなに壁は高くない。実際、私は今でも教材はBBCとエコノミストがメインなのだ(他にタイムやABCニュース、サイエンティフィック・アメリカンを使うけれど、イギリス記事のほうが面白いと思うので後者の比率は低め)。この高校生たちがさらに英語に興味を持って、もっと科学記事を読みたいとか、世界の最先端のニュースを英語で読みたいと思うようになったら、数年後には英検の合格率はバンと上がるだろう。いや英検に限らず、こういう子供たちが大人になったら、初めて、日本人の相対的な英語力が上がるのではないか、と思う。ちなみにこの高校、私の某友達の出身校である。当時あまり英語に興味がなかったという彼女だが、こういう授業を受けていたらきっと私より先に軽々と英検を突破してたかも知れないな。特に英語が好きなわけでも興味があるわけでもない一般の日本人の英語力が上がるというのはすごいことだ。科学英語をキッカケに英語教育が変わっていって、いずれ日本人が一億総バイリンガルになったら、私も商売上がったりになるのかなぁ?(・・・まぁ当分はそんなことはないだろうけれど)。

http://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/renai/20060302us41.htm

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コメント

こんにちは。Mixiで知って、最近時々読ませていただいてましたが初めてコメント書かせてもらいます!なんかすごく同感!なので。
自分自身、高校が英語教育に力を入れた特殊な学校だったこともあり英語だけは得意だ、と思っていたのですが、海外に移ってなんと自分の薄っぺらだったことか!と気付いた事がありました。英語という単なる言語や受験勉強しかしてこなかった私が英語圏の国で「私が得意なのは英語です」なんて、恥ずかしくって言えません^^;

結局色んな事をしている内に看護師になろう!と思うようになり、現地の大学に通ってウンウン唸りながら資格を取り仕事をする過程で、興味のある中身のない英語だけを勉強することのつまらなさを改めて思った。もちろんそのつまらない勉強もしないと始まらないワケですが、やっぱりこれが読めるようになりたい!とか興味あるテーマがあれば英語の勉強も意味のあるものになっていきますよね。伸びると思うし。

医学の世界はやはり英語が標準のようなものなので、新しい研究や情報が日本に入り現場で採用されるようになるまでには、まだ残念ながらかなりのタイムラグがあるように感じます。(オーストラリアでは新しい有効な研究が出ると割に速攻で現場に反映されるんです。言語ハンデない分研究活用の土壌がある気がします。日本の現場の看護師さんが普通に欧米のメジャーな医学ジャーナルを読んで現場に活かしていく動きをしているようには余り見えません。仕方ないですが)。日本発の研究も英語論文で発表されますしね。

だからこの高校生たちのように中身のある英語学習を通して、より広範囲の文献を自由に読みこなし活用できる人が増えたらいいな、と思っています。
かく言う私自身もピアジェの児童心理の本を教材にしてくれた高校時代の先生に感謝してます。あれがなかったら英語にも医学分野にも興味が向いたかどうか判らないもの!

投稿: たみぃ | 2006年3月25日 (土) 05:45

たみぃさん、こんにちは。コメントありがとうございます。

海外にいらっしゃる方は「語学」はあくまでもコミュニケーションツールの一つだということを実生活の中で実感なさるのでしょうね。よく「趣味は?」と訊かれて「英会話」と答える日本人がいますけど(特に若いOLさんなどに多いような・・・)、趣味が英会話ってなんやねん、と思います(笑、どうも「英会話」とか「外国語」ってファッションアイテムの一つらしい)。でも外国語を使って具体的に何をどうコミュニケーションするかが一番肝心なところなんですよね。翻訳を目指す私もそのことをいつも心がけていたいと思っています。

>やっぱりこれが読めるようになりたい!とか興味あるテーマがあれば英語の勉強も意味のあるものになっていきますよね。

うんうん、そこなんですよね。目的の無い勉強はつまらないし伸びない。英検のような資格試験の場合でも、「合格」だけに目標を置くと伸びないと思うんです。1点や2点のことに一喜一憂するより、その記事を読めたこと、そこに書いてある背景を理解できたことに喜びを感じたいし、外国語で書かれているこんな文書を自分は読めるんだ、ということを楽しみたい。楽しみながら実力がついて、いつの間にやら合格ラインに来ていた、というのが理想だと思っています(=とは言っても、現実にはやっぱり合格のためには多少のテクニックも苦労も必要なんですが)。

>オーストラリアでは新しい有効な研究が出ると割に速攻で現場に反映されるんです。言語ハンデない分研究活用の土壌がある気がします。

素晴らしいー! そういう現場で最先端の医療に携わっていらっしゃるたみぃさん、カッコいいです!私は別に何から何まで欧米の真似をしろとは思わないし、日本には日本の良さもあると思っていますが、まだまだ遅れている部分も多いと思います。技術の差というよりは医療システムの違いなのかも知れませんが。私の知っている某医師が、「看護師の役割は患者の世話。入院患者のシーツを取り替えていれば良い」と言ったときには目が点になりました。残念ながらそう考えている日本人医師は多いのだろうと思います。その辺りも、「日本語」という縦割り式言語が生み出してしまった産物かもしれないですね。レジスターナース制度は日本も取り入れたら良いのにと思います。

・・・と話がズレてしまいましたっ。でも本当に、変に力まずにごく自然に英語を習得する世代が増えていくといいですよね。

投稿: snowberry | 2006年3月26日 (日) 14:01

そうですね、システムの違いはありますね。技術は日本もすごいですから!医療機器や器具も日本製多いですし。
「シーツ替えてればいい」って・・・ボーゼンとしてしまいます。本当にそれでいいなら私たちの仕事、随分楽になりますけど^^医師の仕事は莫大に増えますね。その発言をされた方はよっぽど現場のキツイ仕事がしたくてしたくてたまらないのでしょうかね~。診察して検査して病名と治療方針さえ判明すれば病気は治るとお考えなら、もう一度学校で一からお勉強し直してきて欲しいですわ。オホホ。(ナース怒らせたらコワいよ~)

>レジスターナース制度は日本も取り入れたら良いのにと思います。

すみません、ここちょっと判らなかったのですが・・・看護師の資格制度の話ですよね?そんなに違いはないと思ってました・・・私日本の資格はもっていないので、よく理解できていない部分があるんです。

英語とは関係ないですが、医療のお話ということでご勘弁くださいね・・・^^;

投稿: たみぃ | 2006年3月27日 (月) 16:08

この発言をした医師は外科医なのです。だから余計に妙なプライドが高いのかもしれないですねぇ・・・。まぁそういう医師ばかりではないとは思いますが、日本の場合は特に上下関係が残っているように思います。

>看護師の資格制度の話ですよね?

えーと、専門看護師というのかな? 専門科に特化した看護師のことです。欧米だと、腎臓病看護師とか、循環器科看護師とか、腫瘍専門看護師とか、それぞれの領域に特化した看護師がいますよね? そのための試験もあって、一般の看護師(日本だとこれしかないと思うのですが)とは異なり、その領域の専門的な資格を持った看護師ということです。以前に居た腎臓領域の会社では、腎臓病のレジスターナース出身の方がアメリカ本社から指導教育のために来ていました。

>英語とは関係ないですが、医療のお話ということでご勘弁くださいね・・・^^;

いえいえ、大歓迎です♪ 医療制度の違いなんかも翻訳する上ではすごく大事なんですよね(制度が違うために訳語が見つからないこともしばしば・・・)。そういうお話を伺えるのとてもありがたいです。今後もよろしくお願いします。

投稿: snowberry | 2006年3月28日 (火) 19:02

何度もスミマセン。
Registered Nurse (RN)は日本で言う正看護師と同等資格ですよ。大学で看護学の学士を取るとRNになれます(私のいたオーストラリアでは大学の課程内で学位に必要な通常の試験とは別に、RN登録に必須の試験をモジュール毎に受けてパスしていかないといけないので卒業時に国家試験なし、日本やアメリカでは卒業後国家試験を受ける、と微妙な違いはありますが本質は同じです)。
だから「レジスターナース制度」を日本も取り入れれば・・・とおっしゃる意味がよく飲み込めませんでした。

ちなみにRNとしての臨床経験と通常、学士以上の学位が求められる専門看護師(日本での制度は判らないですが)は、オーストラリアではClinical Nursing Specialist(CNS)と呼ばれています。同じ英語圏でも国によって名称は違うようですが(RNは一緒です)。RN以上の資格には他にもいくつか段階があります・・・ややこしいですね。

投稿: たみぃ | 2006年3月30日 (木) 02:42

>Registered Nurse (RN)は日本で言う正看護師と同等資格ですよ。

そうだったんですか、私は大きく勘違いしていたかも・・・。専門看護師とゴッチャにしていました。日本には専門看護師というのが無いのですね、きっと。正確なところを教えていただけて助かりました、ありがとうございました!

今の職場でも現役看護師さんがお二人いらっしゃるのですよ。週末は看護師としてお仕事していらっしゃるそうです(お二人とも!)。すごい・・・。会社内で事務職をして、週末は現場で体を動かして看護師のお仕事をするのはメリハリあって良いとおっしゃっていました。

投稿: snowberry | 2006年3月30日 (木) 16:10

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