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2006年3月12日 (日)

誉め言葉

私がお手伝いしているボランティア翻訳のサイトでは、翻訳文書は三段階のステップを踏んで処理されている。(1)翻訳(ボランティア翻訳スタッフ)→(2)校正(今のところ管理人さんか私?)→(3)監修(ボランティア協力してくださっている現役医師の先生)。ボランティアでこれだけきちんと仕上げているところもなかなか無いと思う。管理人さんのご尽力の賜物だと思うし、本当に頭が下がる。私もできるだけお手伝いしたいと思いつつ、、、まぁ所詮は出来る範囲内でしか出来ないんですが。

先日あれこれ苦心したボランティア翻訳の校正作業。監修の先生のところから訳稿が戻ってきた。これがナント、一切直しナシ!の快挙であった。監修を担当して下さった先生のコメントで、自分が監修した分としては手直しナシというのは初めてです、すばらしい、とのこと(ちなみに監修してくださる先生は3~4人いらっしゃる。ついでに言うと、サイトが発足して以来、1年半ほど経つと思う)。管理人さん経由でこのコメントを聞いて、またまた単純に舞い上がる私。相当に気を張って推敲したのだろうということが判る、原文を再現しつつ判りやすい日本語になっていることに感銘を受けた、とまで言ってくださった! すっごく嬉しい。 

以前から、翻訳会社が校正者やチェッカーを募集しているのを見かけるたびに不思議に思っていたことがある。校正者やチェッカーは(言葉は悪いが)翻訳者より格下のような扱いで、英語力も「英検2級くらい」などとなっていて、翻訳者を目指す人にとって日常的にプロの翻訳を目の当たりにすることで勉強になります、みたいな謳い文句があったりして。でも校正とかチェックとかってそういうものじゃないと思う。翻訳エージェントが考えている校正やチェックというのは、おそらく、翻訳者を最大限に信頼していて、翻訳の質自体には問題ないということが前提なのだろう。校正やチェックは、訳抜け、数字の打ち間違い、中学生レベルの文法(時制とか三単現のSとか)くらいしか確認しないのではないか? 訳文に踏み込むようなチェックなどするはずもないし、する実力もないというのが本当のところなのだと思う。でも今回、私自身が何件か校正をしたことで、校正の難しさ、校正の大事さというものを初めて学んだ気がする。私に特別に実力があるということではなく、単にボランティア翻訳スタッフの翻訳力にバラツキがあるから、校正でかなり踏み込んだ訳し直しのようなことも必要になったわけだが(実際、実力があって翻訳が上手なボランティアスタッフの訳文は校正プロセス無しで監修の先生のところに回されている)、プロの翻訳者になるなら、ここまで自分一人で出来なければならないのだということも実感した。訳すときは原文に最大限忠実に、そして校正するときには原文から少し離れた視点で、出来る限り自然な読みやすい日本語に。この、一見相反する作業を自分一人でしなければならない。今までの私の翻訳作業では、私は自分の訳文を「校正」しているつもりで、それは単に読み直しに過ぎなかったのだとようやく気がついた次第。もう一歩踏み込んだ、本当の意味での校正ということを勉強させていただいた。

ところで私の訳文に対するコメントだが、今回監修してくださった先生も、以前に偶然に発見した、やはり監修をしてくださった別の先生のコメントにも、どちらも言及されていたのが、「非常に読みやすく判りやすい日本語」ということだった。これは私が目標にしていることなので嬉しいのだが、同時に、商業ベースでは嫌われる可能性もあることを常に心がけておかなければなぁと思う。医学翻訳って、難解で判りづらいほうが高尚と思われているフシがあるからねぇ。ボランティア翻訳みたいに、患者さん(=一般の方々)向けの文章であれば、出来るだけ平易で判りやすい言葉が良いと思うけれど、これが治験薬概要書や副作用報告書だったら、漢語まがいの専門用語満載、日本語になってても日本語のイミがわかりません~みたいな翻訳のほうがエージェントさんの好みだったりするわけで。これから仕事でやって行くのであれば(=やっていくつもりですが)、そのへんのバランスのとり方も課題になるのだろうな。私は、バックグラウンドのない「自分」にとって判りやすい翻訳文にしたいと思っているんだけど、専門家が読んだら、そこまで噛み砕かなくてもヨロシイ、と思うだろう。いや、単に私が漢語まがいの専門用語に慣れていないだけなのか?

でもウレシイなっと♪ 仕事してて誉められることなんてなかなか無い。上手に出来て当たり前、上手に出来るからプロであり対価をいただけるのだ。職場では成果物の質に対して注文がつくことはあっても誉められることはない。デキが悪ければ、オンサイトなら首になり、フリーランスなら次の仕事は来ない。そりゃまぁ、ボランティアとしては上出来という意味で誉めていただけただけかもしれない。それでもやはり誉められると嬉しい。

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コメント

校正作業、お疲れさまです。大変なミッションに足を踏み込ませています(^^ゞ
お褒めいただいてたように、Snowberryさんの校正、しっかりしていて助かります。

>校正者やチェッカーは(言葉は悪いが)翻訳者より格下のような扱いで、英語力も「英検2級くらい」などとなっていて、

これは驚きです。(@@)
チェッカーの意味がないのでは?
われわれは、翻訳技術も医学的にも充実したサイトを目指したいですね。
Snowberryさんのアシスト、これからも期待しています☆

投稿: nozomi | 2006年3月17日 (金) 22:16

自分でやってみないと判らないことってありますね~(「fools, their own」という言葉が浮かんでしまった、、、嗚呼)。翻訳してるんだから校正くらい簡単なんでしょ、と頭のどこかで思っていたのですが、いやはやトンデモなかったです。良い勉強をさせていただきました。

>われわれは、翻訳技術も医学的にも充実したサイトを目指したいですね。

ほんとほんと、そうです!野中さんのご尽力あればこそ、ですよね。私も微力ながらお手伝いさせていただきます。でも微力、ですよホントに(笑)。あんまり大したことできないですが、これからもよろしくお願いいたします。

投稿: snowberry | 2006年3月18日 (土) 20:27

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