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2005年12月 9日 (金)

専門知識

医学、薬学、看護学、獣医学、生物、化学、などの出身の方は別として、「英語が好きだから翻訳の道に入った」という、いわゆる文系出身者が医学分野の翻訳をする場合は、専門知識の習得に悩むことが多いのではないかと思う。上記の、理系出身でバックグラウンドがある方々でさえ、常に最新の知識習得に努めていらっしゃるだろうから、スタート時点で知識ゼロの文系出身者は、やはり多かれ少なかれ苦戦である。(それに加えて私は算数キライ、物理ダメ、化学記号はH2Oくらいしか判らないという、完全な理系オンチなので、おそらくスタート地点はゼロどころか大幅に後退していると思われる。)

以前に勤めていた会社で治験薬概要書を何人かで分担して訳していたとき、私の隣の席で黙々と翻訳していた正社員の若いお嬢さん(20代半ば)が、「ここ、おかしい!」と叫んだことがある。自称英検2級の彼女は英語力はまだまだだったけれど、薬学部出身で、薬物動態の数値が明らかにおかしいと言ったのである。専門知識があるというのはそういうことだ。私にとってはただの数字でしかないけれど、知識のある人にとっては物質が体内に入ってどのような化学反応が起きるのか、ちゃんと意味を持った内容になっているため、「有り得ない数値」が書かれていたらおかしいと気がつくのだ。彼女は上司に相談に行き、これは確かに絶対におかしいね、ということになって(上司も薬学部出身だった)、その後は確認作業、改訂作業、と続いた。

そんなふうに、原文が明らかにおかしいと気がつけるだけの知識を、どのように習得したら良いのだろうかと思う。私が英検山を登っていたとき、まだまだ頂上が見えずに山すそでウロウロしていたころは、タイムやエコノミストの記事に誤植があるなどと思いもよらず、辞書に載っていなくて首をひねったことが何度もあった。天下の英字誌に誤植など有り得ないと思っていたのだ。でも山の頂上が近づいてきたころには、ハッキリと誤植は誤植だと判るようになった。今の私には論文を読んでいても山すそウロウロ状態なのだ。仮に決定的な間違いが書かれていても、何も気がつかずに右から左に翻訳するだけで精一杯だ。第一、中身の意味も判らずに訳す作業というのは楽しくないだけではなく苦痛でもある。

BMCは高嶺の花で夢のまた夢。東京大学のCBIは有料になってからは参加していないが、今後は講座を絞って参加しようと思っている(主にメディカルライティングのときに)。薬剤師の実務内容を勉強できる共立薬科の講座は、毎年応募時期になると受講しようかどうか悩み続けている。今月から新規開講という東京医科歯科のコースは今後の動向をチェックしたい。大阪市大のインターネットコースは4月から受講中で終盤にさしかかったが、果たして私はちゃんと理解しているといえるかどうか…。

東京大学クリニカルバイオインフォマティクス
http://cbi.umin.ne.jp/

共立薬科大学生涯学習通信講座
http://www.kyoritsu-ph.ac.jp/pharmacy/communication.html

東京医科歯科大学バイオ医療オミックス情報学
http://bioinfo.tmd.ac.jp/omix/index.htm

大阪市立大学インターネット講座(画像診断の最前線)
http://www.med.osaka-cu.ac.jp/nucmed/internetlecture.html

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コメント

初めまして。医学専門の通訳を目指して勉強しております、さやと申します。文系ご出身とのことなので、書き込みさせていただきました。
医学は範囲が広くて本当に途方にくれます。わたしは学生なので、冬休みに入ったら生化学から勉強していこうかと思っています。
これからもときどき伺います。頑張ってください。

投稿: さや | 2005年12月 9日 (金) 17:22

すっごーーーーーーーく分かります!!
何度も何度も勉強をやめちまおう!!と思ったことか。。。だけど、翻訳学校の先生から、励ましのお言葉や、お褒めのお言葉を頂いてここまでやってきたことを絶対に無駄にしたくない!!と思っています。翻訳学校の授業料だって、6ヶ月コースで30万円も払ったし。いままで買い集めた医学書だって授業料より高くついているだろうし…お金が全てではないけれど、努力している分いくらかは身になっていると信じたい!!!
バックグラウンドが同じようなsnowberryさんには本当に色々と助けて頂いています!!

ちなみに上記の学習コースで「これはオススメ!!」ってのはありましたか??

投稿: コト | 2005年12月 9日 (金) 22:02

へ~、こんな講座があるのね。
参考になったよん。

原文の間違いには私も泣かされてます。
「あれ?こんな化合物あるのかな?」
なんて思って、ネットで調べると数は少ない
もののヒットする。「じゃ、まあいいか」と
思ったら、実は誤植でネットに出回っている
情報も(おそらく)同じ間違いだということが
判明。ガックリ。


投稿: Blondy | 2005年12月10日 (土) 00:15

さやさん、初めまして。医学系の通訳を目指されているのですか! 私は通訳の素養ゼロで(単語がパっと出てこない・・・)通訳できる方というのは本当にすごいと思います。その上、医学分野とのこと、ラテン語由来の長い単語も多いでしょうし・・・翻訳とはまた違った大変さがあると思います。少なくとも翻訳では発音しなくて済みますから読み方が判らなくてもナントカなるのです(笑)。

私が通っている医学翻訳のクラスでは現役の通訳者さんがいらっしゃるんですよ(医学会議での通訳のお仕事が増えているので医学について学びたいという理由で受講されています)。さすがにものすごく滑らかで自然な日本語に訳されていらっしゃいます。翻訳が本業ではないのに、訳文を読むと素晴らしくて、ハー。。。と溜息が出るくらい。通訳をなさる方にはそういう才能があるのですね。きっと、さやさんも滑らかで美しい日本語をお使いになるのだろうと思います。

さやさんもブログをお持ちなのですね、拝見してきました。TOIEC受験、がんばってください。私も翻訳のこと、医学のことなどを少しずつこちらに書き続けていこうと思っていますので、よろしかったらこれからも遊びにいらしてくださいね。

投稿: snowberry | 2005年12月11日 (日) 05:05

コトさん、こんにちはー。

>ちなみに上記の学習コースで「これはオススメ!!」ってのはありましたか??

う~んと、私は全部を受けたことがあるわけじゃないので(「受けてみたい」っていうのも入ってるので)実情がわかっている訳ではなく、どれをオススメしたら良いのか判らないんですよねぇ。ただ、たまたま2つは通学講座で、2つは通信講座です。コトさんは通学講座は難しいでしょう? だとしたら、共立薬科か大阪市大のものになりますよね。通学講座はいずれも社会人対象のため、開始時間も遅いし(午後6時とか7時です)、当然、終了時間も遅いので(夜9時とか10時)それだとコトさん通えないのではないかと・・・。

通信のほうは、大阪市大のコースは今ちょうど受講中ですが、これはかなりレベルも高くいろいろ学べると思います。実際に大阪市大の現役の大学生にも指定講座になっているようで、医大生たちと同じ授業を受けていることになりますから(東大CBIもそうです。東大生たちが受講に来ています)。それに、大阪市大のほうはなんといっても無料だし。国公立バンザイ(笑)。共立薬科は受けたこと無いんだけど、これもかなり良さそうなんです。でも服薬指導とかまでは多分要らないし・・・などと迷い中なのデス。で、総合して、受講しやすさと内容の良さでは大阪市大はオススメできますよ。通学できるのであれば、東大CBIのカリキュラムの中から短い講座(週1回で一ヶ月4回で完結する講座)などで、興味ある題材のときに受講するのは良いと思います。以前はとっても古くて暗い建物(夏は暑く冬は寒い)での講義だったのですが、最近、新築の校舎での講義に変わったらしく、明るくてきれいになったんですって。有料講座にしただけのことはあるのかも(笑)。

投稿: snowberry | 2005年12月11日 (日) 05:21

化学系の講座もいろいろな大学でやっているんじゃないかなぁ。こういうのって、いろんなところにアンテナ張って的確に情報を得ていると、そんなにお金をかけなくても勉強できるものなのよね。情報を制するものは強し!って思います。(デジタルディバイドかもしれないけど・・・)

化合物は本当に判らない! 医学の文書の中にも化学物質名がいろいろ出てくるけど、そもそも化合物が結合するときのルールもよく判っていないものだから、長ったらしい名前の単語をどこで区切ったらよいのか、どんな風に調べたりしたら良いのかも、もうお手上げ。誤植が出回ってたら信じてしまいそう。化学に詳しいブロンディでさえ誤植に惑わされるのであれば、私なんか尚更だなぁー。

投稿: snowberry | 2005年12月11日 (日) 05:28

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